『ヒミズ』染谷将太&二階堂ふみがレッドカーペット初体験!園子温監督、被災地でのロケを明かす
第68回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品した『ヒミズ』(2012年春公開)で主演を務める染谷将太、ヒロインの二階堂ふみ、園子温監督が現地時間9月6日、公式上映会&レッドカーペットに登場した。
公式上映では、クライマックスになると場内から嗚咽する声も漏れ、終了直後には、嵐のようなスタンディングオベーションが約8分間巻き起こり、観客は場内にいた園監督、染谷、二階堂らを称賛。ヴェネチア映画祭初のレッドカーペット上での囲み取材となり、一般のオーディエンスからは「GANBARE!」などの声が飛んだ。初のレッドカーペットを体験した染谷は、「緊張してたけど、思っていたよりリラックスして楽しめました」と笑顔を見せた。同映画祭での公式上映を終え、「今までと違う、新しい体験をした気がします」(二階堂)、「自分の出た映画でこんなに大きな拍手が起こったのは初めてなので、すごく嬉しかった」(染谷)と、それぞれが喜びを語る一方、園監督は「日本映画の夜の上映でこんなに人が入るのは珍しいらしいので、嬉しく思いました。日本人のために作った映画ですが、海外の人たちに理解されたことが嬉しい」と手応えを感じたようだ。
また、その前に行われた公式記者会見では、2009年に『愛のむきだし』がベルリン国際映画祭出品、2010年に『冷たい熱帯魚』がヴェネチア国際映画祭出品、2011年に『恋の罪』がカンヌ国際映画祭出品と、世界の映画祭から高い評価を受け続けている園監督へ質問が集中。本作の撮影を東日本大震災の被災地で行っていたことが明らかとなり、園監督は「多くの人に撮影を止められ、自分の中で葛藤はありながらもここで現地に入らなかったら一生後悔すると思い、被災地での撮影に挑んだ」と振り返った。園監督にとって、本作は初の漫画原作の実写化となる。本作に込めた思いを、園監督は「10年前に書かれた漫画『ヒミズ』は、終わらない日常の退屈さ、虚しさみたいなものが若者の意識の中にあった。震災を受け、“終わらない日常”から“終わらない非日常”が当たり前になってしまった、そういう若者を描きたかった」と明かし、染谷は「震災以降、今までの日本人の若者では考えなかったことを考え始めたり、すごく悲しい思いをして立ち直ろうとしていたり、今までとは全く違う思考を若者が持ち始めていることを実感しています」と、心境の変化を語った。
北野武監督の『HANA-BI』(98)以来、日本映画としては14年ぶりとなる最高賞の金獅子賞受賞に大きな期待が集まっているが、園監督は「賞は取れたら嬉しいですが、賞にはこだわらない。とりあえず、世界の人に作品を見てもらえたことが嬉しい」と話す。染谷が男優賞を受賞すれば三船敏郎以来、46年ぶり、二階堂が女優賞を受賞すれば乙羽信子(新藤兼人監督夫人)以来、32年ぶりの受賞となり、快挙となる可能性も少なくはない。同映画祭の授賞式は現地時間9月10日(土)の19時(日本時間11日深夜2時)から行われる。【Movie Walker】