東日本大震災発生時、地球の裏側にいた窪塚洋介たちは何を思っていたか?

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東日本大震災発生時、地球の裏側にいた窪塚洋介たちは何を思っていたか?

東日本大震災が発生した3月、日本の裏側に位置するフランス・パリでは、窪塚洋介の3年ぶりとなる主演映画が撮影されていた。その映画こそ、12月10日より2週間限定で公開されている『UGLY』だ。

PVやCM、劇場用映画などの演出を幅広く手がける柿本ケンサクと、パリを拠点に活動する音楽家の半野善弘が共同で監督を務めた本作。理想の表現を追求するため、ふたりの監督はあえて自主制作という手段で映画作りをスタートさせ、柿本監督が以前から親交のあった窪塚洋介と桃生亜希子をキャスティング。スケジュール、予算ともに非常にタイトな中、今年の3月にようやくパリでのロケ撮影が行われることになった。

ところが、現地入りした矢先に東日本大震災が発生。パリに滞在していた撮影クルーは遠く離れた土地で、震災の被害を知ることになってしまったのだ。柿本監督自身も「心が折れそうになって『こんなことをやっていて良いのかな』って考えた」と語るように制作の続行が危ぶまれたが、現地のスタッフや俳優たちの協力もあり、撮影は無事に完了。WEB上での公開を経て、今回の劇場公開に至った。

パリで震災を知った日本人のスタッフやキャストは、不安と悲しみでかなりのプレッシャーを感じ、色々なニュースを見ては泣いていたとのこと。だが、そんなギリギリの状況でも前を向き、団結して最後までやり抜こうとした彼らの思いは本物だ。特に窪塚は震災後に、柿本監督とパリで撮影したメッセージ動画をYouTube上で公開し、不安げな表情ながらも力強い前向きなコメントを日本に向けて発信していたが、当時彼がやろうとしていたことが映画から充分に伝わってくる。

柿本監督が「これは2011年3月にしか撮れなかった映画。その日、その時しか撮れないものばかりを集めたものになりました。同じものは二度と撮れないと思います」と語るように、本作には特殊な状況でしか生まれない、俳優たちの濃密な演技が切り取られている。あの特異な時間を日本の外で受け止めたスタッフ、キャストが一体となり、思いのたけを真っ直ぐにぶつけた本作は、震災後を生きる我々に勇気を与えてくれるかもしれない。【トライワークス】

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