綾瀬はるか&堀北真希も演じた魔性のヒロインが妖艶になって再び登場
『秘密』(99)、『手紙』(06)、『容疑者Xの献身』(08)など、数多くの作品が実写映画化されている人気小説家の東野圭吾。数あるベストセラーのなかでも「白夜行」は、ある殺人事件によって結びついた男女の19年間を重厚なタッチで描いた長編ミステリで、2005年の舞台化や2006年の山田孝之&綾瀬はるか主演によるテレビドラマ化に続き、2011年1月には堀北真希&高良健吾主演で映画化されたのは記憶に新しいところだ。
その人気は海外でも知られており、2009年に韓国で『白夜行 白い闇の中を歩く』が日本に先駆けて劇場版が制作されたほど。『シュリ』(99)のハン・ソッキュら実力派俳優が出演する韓国版は、『私の頭の中の消しゴム』(04)、『四月の雪』(05)のソン・イェジンによる体当たりのベッドシーンが話題を呼び、日本での公開が待ち望まれていた。そんな本作が1月7日より公開されている。
これまでヒロインの雪穂を演じた女優は、綾瀬はるかと堀北真希という、日本でもトップクラスの人気を誇る若手ふたり。彼女たちは少女のような可憐さや透明感の中に潜む底知れぬ冷酷さが見え隠れする雪穂を、卓越した演技力で生み出した。一方、韓国版の雪穂となるミホ役のソン・イェジンは、その清純な美貌で男を惑わせる悪女に文字通り体当たりで挑戦。婚約者に抱かれるミホの華奢な背中やきめ細やかな白い肌と、人気俳優コ・ス演じる桐原亮司に当たるヨハンが人を殺めていくシーンが交錯する冒頭は、彼らの歪な関係をこのうえなくドラマティックに映し出されていく。本作で映画出演10作品となるソン・イェジンだが、映画に必要とあらばヌードも辞さない役者魂の持ち主だ。その演技に対する真摯な姿勢からか、年を追うごとに彼女に魅了されていく女性ファンが増えているというのも納得だ。
R18指定作品ということもあり、激しい濡れ場が展開する本作。それゆえに原作小説が持つ切なさや残酷さ、主人公ふたりに待ち受ける悲しい結末を鮮やかなコントラストで描き出すことに成功したと言えよう。綾瀬はるか、堀北真希とはまた違った魅力で男を惑わす、宿命の女を体現したソン・イェジンの熱演を、是非スクリーンで確かめてもらいたい。【トライワークス】