吉永小百合、森山未來や宮崎あおいたち共演者は「みんな可愛くてハグしたくなる」
湊かなえの「往復書簡」に収録されている「二十年後の宿題」を原案に、『北の零年』(05)の那須真知子脚本×『大鹿村騒動記』(11)、『闇の子供たち』(08)の阪本順治監督で映画化した『北のカナリアたち』(2012年秋公開)。本作のクライマックスシーンの撮影が1月12日・13日、日本最北の礼文・利尻島で行われ、主演の吉永小百合、はる(吉永)の20年前の教え子を演じる森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平ら主要キャストが参加した。
この2日間は、20年前にある事件がきっかけで、バラバラになった先生とその教え子6人が20年の時を経て、思い出の島の学校で再会する、本作のクライマックスシーンの撮影だった。阪本監督曰く、「20年ぶりの再会というシーン。『よーい、スタート』で仲の良い雰囲気を作るのではなくて、それ以前の台本に書かれていない20年間を含めて、彼らは一同に会してお互い喜び合ってほしかった」という本作のクライマックスシーンでは、何度も入念な段取りを行い、撮影に臨んだ。その後に行われた取材で、吉永は「昨晩、合唱の練習があって、指揮をする私を6人が真っ直ぐ見てくれた。もうそれだけで胸がいっぱいになって泣きそうになりました。みんな可愛くて、役ではなく私、個人としてもハグしたくなります。俳優をやっていなかったら、こんな素敵な教え子たちに出会えなかった。お芝居もみんな20年の歳月をきちっと作って、それを埋めて表現するのを目の当たりして、逆に学ぶことも多かったです」と、6人との共演の感想を語った。
マイナス11度で強風が吹き荒れる過酷な環境の中での撮影となったが、森山は「家でダラダラしていたら、この自然に負けてしまうような気がしたので少し早めにこちらに入って、島を北から南まで歩き回りました。信人という役は、辛い過去があるけど、たくましい人物。島を歩いたおかげで、その役作りに役立ちました」と明かした。撮影を振り返り、勝地は「この6人はすごくバランスが良く、居心地が良いです。札幌で撮影をした吉永さんとの共演シーンは、突然の大雪ですごく寒く、メガネも曇るし、雪がすごくて吉永さんが見えないぐらいでした。すごく緊張していたのですが、話しかけた時の表情がすごく温かくて、自然と話せました」と印象を語る。宮崎は阪本監督から「吉永さんとのシーンは目を見ないでお芝居してほしい」と要求され、苦労したようで、「目を見て、気持ちを共有したいんだけど、それができない。葛藤がありましたが、昨日、歌の練習で先生(吉永)の目を見られたんですが、涙が出るくらい幸せでした。共演シーンではカットがかかった後に、吉永さんがハグしてくれて、寒い現場ですが、暖かい現場です」と裏話を披露した。
最後に、吉永は本作について、「現在と過去が交互に出てくるシナリオになっているのですが、20年前の子供たちとのところは第一幕、現在の若者6人のところが第二幕。映画を見終わったら、それから第三幕が始まるような感じになると思います。“再生”というか、明日に向かって新しい第一歩を踏み出していくような新しいジャンルの映画になるのでは」と手応えを語った。本作には、吉永、森山、満島、勝地、宮崎、小池、松田のほか、柴田恭兵、仲村トオル、里見浩太朗が出演する。【Movie Walker】