オスカー受賞後、女優休業の考えも。サンドラ・ブロック、悲しみを抱える母親役で復帰!
2005年に全米で発売され、世界的ベストセラーとなっているジョナサン・サフラン・フォアの小説を、トム・ハンクス×サンドラ・ブロック初共演で映画化した『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2月18日公開)。主演映画『しあわせの隠れ場所』(10)でアカデミー主演女優賞を受賞したサンドラ・ブロックは、本作で悲しみを抱える母親役を熱演している。
サンドラ・ブロックは度々話題になるキアヌ・リーブスと共演した『スピード』(94)でヒロインを演じ、この映画の大ヒットと共にブレイク。MTVムービーアワードで、最優秀女優賞と、キアヌ・リーブスと共にベストコンビ賞を受賞し、日本でも一躍有名になった。その後も『あなたが寝てる間に…』(95)、『デンジャラス・ビューティー』(01)、『トゥー・ウィークス・ノーティス』(03)、『イルマーレ』(06)など、恋愛映画でヒットを飛ばすラブコメでの活躍が目立っていたが、一転『しあわせの隠れ場所』(10)では、住む家を失った黒人少年を家族同然に愛し、教育し、アメリカンフットボールの選手に育てる母親役を演じ、念願のアカデミー主演女優賞を獲得している。
プライベートでは、人気テレビ番組の司会者でもあるジェシー・ジェームズと2005年に結婚。2010年1月には、当時新生児であったルイス・バルド・ブロックを養子に迎え、その後、オスカー受賞によりキャリアの絶頂期を迎えているかと思われたが、受賞後の6月には離婚。離婚後はその苦しみによって女優業から距離を置き、母親業に専念することを明かしていた。しかし、スティーブン・ダルドリー監督の熱心な説得の結果、本作で女優業に復帰し、「(女優業に)戻りたいと思っていなかったし、準備ができていなかった。でも、良い役を演じるチャンスをもらって決意したの」と心境を明かしている。
女優業を離れたいと思うほど追い詰められていたにも関わらず、復帰するきっかけとまでなった本作での役どころは、父(トム・ハンクス)を突然失った少年の母親役だ。夫の死後、自分自身も大きな悲しみを抱えながら、息子と絆を結ぶため、そして息子と夫が築いた世界に入って行くために、人生を立て直すことに苦心する女性。そんな役柄を演じることに興味をそそられたという。「トーマス(トム・ハンクス)が生きていた時は、一歩下がり、素晴らしいチームである夫と息子を見守っていた。でも息子の最高の遊び相手(トム・ハンクス)、彼が知的に同等だと感じていた唯一の人物を亡くした今、彼女は自分がトーマスの代わりになれるか自信がないの。それに彼女自身も深い悲しみから立ち直ろうとしている状態なので、どんなに息子との間に絆を持ちたいと思っても、そのために闘うエネルギーが彼女にはないの」と、自身の演じた役柄を語っている。
東日本大震災ではいち早く義援金を送るなど、彼女の優しさは数多く報道されるが、自身も大きな悲しみを抱えながら“失意”の母親役を演じることで、悲しみを乗り越え、女優としても新境地を開拓しているのだ。【Movie Walker】