第84回アカデミー賞ベストドレッサーはシンプルなグウィネス・パルトロー&ゴージャスなジェシカ・チャステイン

映画ニュース

第84回アカデミー賞ベストドレッサーはシンプルなグウィネス・パルトロー&ゴージャスなジェシカ・チャステイン

今年もゴージャスなスターたちが繰り広げたアカデミー賞レッドカーペットでの美の競演は、視聴者たちを大いに楽しませてくれた。米テレビE!、エンターテインメント・ウィークリー誌、Usウィークリー誌などのファッション関係者らが分析したベストドレッサーを紹介したい。

全般的に高い評価を得たのが、ファッションアイコンのグウィネス・パルトロー。ヴォーグ誌のベストドレッサーにも選ばれているグウィネスは、白いトム・フォードの流れるようなシンプルなドレスで彼女の持つ美しさを引き立たせ、アカデミーの歴史に残るファッションと絶賛されている。それでもなぜか、ピープル誌のベストドレッサーには選ばれていないグウィネス。ファッションにはその道のプロでも好みがわかれるところで、「普段着っぽくて、レッドカーペット用にはふさわしくない」という声も聞こえてくる。

一方で、今年大躍進が目立ったのは、『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(3月31日公開)で助演女優賞ノミネートのジェシカ・チャステインだろう。今年3作品で各賞でのノミネートを果たしたジェシカは、各賞レースで様々なファッションにチャレンジしたことが評価され、集大成となるアカデミー賞でのドレスが注目を集めていた。そんな彼女が選んだのが、アレキサンダー・マックイーンの黒いドレス。2010年に若くして亡くなったマックイーンはガガ、リアーナ、ビョークなどの前衛的なドレスを手がけてきたことでも有名だが、流行のくすんだ金色と黒いドレスのゴージャスなマッチング、さらには200万ドルと言われるハリーウィンストンのイエロー・ダイヤモンドのイヤリングとヘアスタイルに至るまでのパーフェクトな出で立ちは文句のつけようがないとの高評価を得ている。エンターテインメント・ウィークリー誌などはジェシカを1位に挙げており、シンプル派の代表はグウィネス、ゴージャス派の代表がジェシカと言えそうだ。

ジェシカの金&黒ドレスに続いて、今年注目を集めたのは、煌びやかな金のドレスを着ていた『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(3月16日公開)で主演女優賞を受賞したメリル・ストリープと、ジョージ・クルーニーの恋人ステイシー・キーブラーだった。メリルは実力は女優として認められているがあまりファッションセンスへの評価が高くない。しかし今回、サッチャー元英首相にオマージュを捧げたランバンのドレスは、まさに二度目の主演女優賞をかけた願掛け&勝負色のドレスで、まとめ上げたヘアスタイルやイヤリング使いなど、女優の最高峰に登り詰めた彼女にふさわしいファッションとして高く評価された。また、ジョージより背が高いステイシーのファッションは常に高い評価を得ているが、敬遠しがちな金色のドレスを堂々と着こなしていることで、「受賞者が着るような、まさにアカデミー賞の主役のドレス」「ジョージは金のトロフィーをもらえなかったが、隣にブロンズ像を抱えている」と好評だった。

他には『ヘルプ』で助演女優賞を受賞したオクタヴィア・スペンサーのタダシ・ショージのドレス、レッドカーペット初参加のミラ・ジョヴォヴィッチのエリーサーブのドレスもエレガントなラインとヘアスタイルなど評価が高かったほか、髪をばっさり切ってレトロ風にイメージチェンジを図ったぺネロペ・クルスが着たいたジョルジオ・アルマーニのブルーのドレス、『ブライズメイズ』(4月28日公開)のローズ・バーンの着ていたヴィヴィアンウエストウッドの黒いドレス、『マリリン 7日間の恋』(3月24日公開)で主演女優賞ノミネートのミシェル・ウィリアムズのルイヴィトンのカスタムメイドのドレスは、流行のコーラルカラーとキュートなデザインや自らが選んだというヴォッテガベネタのクラッチが好評だった。

胸ポロ疑惑で大いに話題になったジェニファー・ロペスのズハイル・ムラドのドレスは、彼女のくびれたボディが最大に生かされたセクシーなドレスと高い評価を得ており、「胸ポロも彼女の計算された戦略」とまで言わしめてしまうほどだが、やはり際どすぎるファッションに、マイナスの評価も出ているようだ。そしてジェニファーと一緒にプレゼンターを務めたキャメロン・ディアスのグッチのドレスも評判が高かったが、後になって「乳首が見えていてアカデミー賞にはふさわしくない」との辛口コメントが出る始末。

また『ヘルプ』で主演女優賞ノミネートのヴィオラ・デイヴィスは、これまでウィグで隠していたヘアを披露したことでも大きな話題となったが、大きく胸元がカットされたヴェラ・ウォンのグリーンのドレスが肌の色にパーフェクトマッチングするとして大方高い評判を得たほか、『アルバート・ノッブス』(日本公開未定)で主演女優賞ノミネートのグレン・クローズのザックポーゼンの深緑色のドレスとジャケットのデザインと色味は、年齢を重ねたグレンをより美しく見せるファッションとして評判だった。

ファッションアイコンにしてベストドレッサーの常連であるアンジェリーナ・ジョリーは、今回もアトリエ・ベルサーチのシンプルながらもゴージャスなドレスで人気を集めたが、右足を露出したポーズが一部のファッション関係者から「ドレスとアンジェリーナの品格を落としてしまった」としてマイナス要因になり、今回はトップの座に君臨することはできなかった。

そして今回、全般的にとても評判が高かったにもかかわらず、「ファッション界の掟破り!」と非難されてしまったのが、エマ・ストーンが着ていたジャンバティスタ ヴァリのホルダーネックの赤いドレス。2007年に二コール・キッドマンが着ていたヴァレンシアガのホルダーネックのドレスをコピーしたかのようなもので、「歴史に残るようなドレスのコピーを選んだスタイリストの罪は重い」という厳しい声も挙がっている。【NY在住/JUNKO】

作品情報へ

関連記事