第84回アカデミー賞ワーストドレッサーは『アーティスト』のベレニス・べジョ

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第84回アカデミー賞ワーストドレッサーは『アーティスト』のベレニス・べジョ

2010年はシャーリーズ・セロン、2011年は二コール・キッドマンというファッションアイコンたちがアカデミー賞ワーストドレッサー賞を受賞するという憂き目にあったが、今年は作品賞に輝き、自らも助演女優賞にノミネートされていた『アーティスト』(4月7日公開)のアルゼンチン女優ベレニス・ぺジョが、その汚名を背負うことになった。

米テレビE!、アクセス・ハリウッド、TMZ.COM、エンターテインメント・ウィークリー誌、デイリー・メール紙などのメディアからファッション関係者の意見をまとめてみた。

これまでにも様々なファッションで賞レースに挑んできたベレニスのファッションはあまり高い評価を受けてはいなかったものの、今回のドレスの選択は、専門家たちを驚かせるものになってしまった。早めにレッドカーペットに現れたベレニスが楽しそうにインタビューを受けている間も、彼女のファッションについてはあまり語られることがなかったのだが、その予感は的中し、エリーサーブのミントグリーンのドレスと、赤毛のマッチング、ヘアスタイルや同系色にそろえられたクラッチ、イヤリングに至るまで、「全くマッチしてないし、似合っていない色のドレス。何で最後の晴れの舞台にこんなドレスを選んだのだろう」と言わしめてしまうほど大不評だった。ベレニスが『アーティスト』の中で着ているレトロなドレスはとてもキュートでお似合いだった反動もあってか、E!では、満場一致のダントツで、ワーストドレッサー賞に選ばれてしまった。

票割れが多かった中で、もう一人ダントツだったのは『ファミリー・ツリー』(5月18日公開)のシェイリーン・ウッドリー。今回は惜しくもノミネートを逃したものの、各賞レースに参戦していたシェイリーンは、これまでにもかなり老けて見えるようなドレスを着ていると批判を受けたことがあったが、今回の長袖の白いヴァレンチノのドレスについては、「ドレスは素敵だが、20歳には見えない。なぜ、わざわざ40歳に見えるような服を選ぶのか」と評判が悪かった。前回のゴールデングローブ賞でもそうだったが、若作りをしすぎるのもNG、大人になりすぎるような服を着るのもNGで、「年相応の服を着ること」を強く勧めている。

そして、『ドラゴン・タトゥーの女』(公開中)で主演女優賞にノミネートされていたルーニー・マーラのジバンシーのクチュールの透き通った白いドレス。ルーニーはこれまでの賞レースで、役の中のイメージに合わせて、エッジの利いた黒のドレスを選ぶことが多かったが、リスクをとるファッションは注目の的になっていた。朝まで悩んで決めたという今回のドレスは、脱ブラックという意味では期待に添ったようだが、「ランウェイファッションのドレスは、晴れの舞台には重みが足りない。ない胸をなぜわざわざ強調するのか。シンプルなのは良いが、最低でもイヤリングは必要だ」と、なかなか手厳しい批評を受けている。

また『ブライズメイズ』(4月28日公開)で助演女優賞にノミネートされていたメリッサ・マッカーシーは、レッドカーペットでドレスについて聞かれ、「マリナリナルディとは古くからの友人。彼が私のために作ってくれたドレス、とても気に入っています」と嬉しそうに語っていたが、「タダシ・ショージとタッグを組み、ギャザーなどのデザインをボディの中心に集約することで、ボディラインを細く見せることに成功しているオクタヴィア・スペンサーとは対照的に、胸元のシャーリングや広がった袖下などのデザインが体の線をさらに膨張させているように見える。太っているのが丸出し」との厳しい評価が下っている。

他には、昨年『ザ・ファイター』(10)で助演女優賞を受賞し、今年は助演男優賞のプレゼンターを務めたメリッサ・レオで、普段からあまりファッションの評判が高くない彼女が選んだリーム・アクラの金と黒のドレスは場違いと不評だったほか、ヴァージニア・マドセンのケバン・ホールの紫のドレス、アンナ・ファリスが着ていた黒いメタリックのダイアンフォンファステンバーグのドレス、ジェーン・シーモアのパメラ・ローランドのメタリックレッドのドレスなどがワーストに選ばれた。

専門家と言えども評価が分かれることはしばしばだが、今回意見が大きく分かれたのは、『ブライズメイズ』の主演で脚本家のクリステン・ウィグ。ジェイ・メンデルのドレスそのもののを高く評価する声もあったが、色身が肌にマッチし過ぎていることから、レッドカーペットにはふさわしくないという否定的な判断が下された。またサンドラ・ブロックの白と黒のマルケッサのドレスは、背中の開き具合の美しさを評価する意見と、タイト過ぎる黒いドレスが不評でサンドラには似合わないといった意見に分かれたほか、概ね好評だったヴィオラ・デイヴィスが着ていたヴェラ・ウォンの緑のドレスをワーストの中に挙げる人もおり、この辺りは好みの違いが大きく分かれた形となった。

女優たちの今後のキャリアを大きく変えると言われているアカデミー賞のファッションは、今年もまた専門家たちから容赦ない審判を下されたわけだが、ベレニスは『アーティスト』でアカデミー監督賞を受賞したミシェル・アザナヴィシウス監督のパートナーでフランス在住であることから、恐らくハリウッドでのキャリアに響くことはないだろう。また、シェイリーンもルーニーもレッドカーペット一年生。今後に乞うご期待と、メディアもきっと多めに見てくれるはずだ。【NY在住/JUNKO】

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