今、世界中で注目を集めるデンマーク人映画監督って?
『バベットの晩餐会』(87)、『ペレ』(88)で米アカデミー外国語映画賞を2年連続受賞するなど、その高い作品性を評価されてきたデンマーク映画。日本では『奇跡の海』(96)、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(00)などで知られるラース・フォン・トリアー監督が、最も著名なデンマーク出身の映画人と言えるだろう。
3月31日(土)公開のライアン・ゴズリング主演作『ドライヴ』で、昨年の第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の監督賞に輝いたニコラス・ウィンディング・レフン監督もデンマーク出身の気鋭として、今、世界的な注目を集めている。『007 カジノ・ロワイヤル』(06)のル・シッフル役や『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』(11)でのロシュフォール役で知られる俳優マッツ・ミケルセンの本格映画出演作でもある『プッシャー』(96)でデビューしたレフン監督。その容赦ない暴力描写とスタイリッシュな映像で瞬く間にヨーロッパの映画ファンを虜にし、同シリーズ三部作は各国で「プッシャー・トリロジー」上映会が開催されるほどの人気を得ているのだ。そんなレフン監督がマッツ・ミケルセンと再びタッグを組み、2009年に発表したヒストリカルバイオレンスアクション『ヴァルハラ・ライジング』が、4月7日(土)に日本でも遂に上映されることが決定した。
舞台は西暦1000年。長い間、自分を奴隷として扱ってきたスコットランド人の族長バルデを殺し、自由を得た物言わぬ片目の男ワン・アイ。彼とその身の回りの世話をしてくれた少年アーとの過酷な旅を描く同作でもスタイリッシュなバイオレンスシーンが炸裂。暗いながらも彩度の高い映像と血や泥にまみれる俳優たちの肉弾戦、残酷ながら神聖さすら感じさせる流血シーンを強く印象づけるための効果音など、レフン節と呼ぶに相応しい演出が盛り込まれている。
ライアン・ゴズリングと再びタッグを組む現在撮影中の新作『Only God Forgives』(オランダ2013年3月公開予定)に加え、『ドライヴ』のヒロイン、キャリー・マリガンを主演に迎える『I Walk With The Dead』(2013年公開予定)が待機中。そしてライアン・ゴズリングと『2300年未来への旅』(76)のリメイク版の共同脚本にも着手していることからも、ハリウッドでのレフン監督への期待度の高さが感じられる。今年、42歳を迎えるデンマーク人監督が描く唯一無二の世界を是非スクリーンで堪能してもらいたい。【トライワークス】