竹中直人&勝俣州和がハンプティ・ダンプティ談義で大盛り上がり!
身長60cmのあのお尋ね者が主役となってスクリーンに帰って来た。『シュレック』シリーズの人気キャラを主役に迎えた『長ぐつをはいたネコ』が3月17日(土)より公開となる。猫好きにはたまらない猫の愛嬌たっぷりの表情や仕草、そして大人も満足できるアクションとストーリーが魅力の本作。日本語吹替版で声優を務めた竹中直人と勝俣州和がインタビューに答えてくれた。
『シュレック2』(04)で初登場以来、シリーズで長ぐつをはいたネコの声を担当してきた竹中直人。彼の渋い大人の声と猫の可愛らしい風貌のギャップがまたファンにはたまらない魅力となっている。そんな竹中が今回の映画の話を聞いた時の心境を語ってくれた。「とうとう彼が主役の映画ができたか!という驚きはありました。でも今回の映画は、『シュレック』に登場する前の物語なので、吹替の声が僕じゃなくなっちゃうんじゃないかとヒヤヒヤしました。若い小栗旬くんとか松山ケンイチくんになるんじゃないかなと思っていましたよ」。
一方、プスの兄弟分・卵のハンプティ・ダンプティの声を演じた勝俣州和は、本作が声優初挑戦。しかし、初めてとは思えないほどキャラクターに合った声で、その熱演には竹中も「映画を見ていたら、勝俣くんの顔が思い浮かぶと思ったけど、一切浮かばなかった。見事でした」と太鼓判を押す。勝俣は声優の仕事を振り返ってこう話した。「声優なんてやったこともないから技術もないし、怒られることは目に見えていたので、とにかく『厳しくしないでほしい』と伝えて、監督からほめてのばしてもらいました。僕には小学1年生と2歳の子供がいるので、普段からいろんなDVDを子供と見ていますが、まさにいつも見ているような作品に参加させてもらえたので嬉しかったです。パパとして株が上がりました!」。
そんな勝俣が声を務めたキャラクター、ハンプティ・ダンプティは、愛らしいプスとはまた違った魅力で、見る者の目を釘付けにする。その表情の豊かさには、勝俣も「笑ってセリフが言えない時もありました」と話すほど。「ニヤッと笑うところなんて、性格がひねくれているからできる表情だよね」と竹中が話すと、「ハンプティはひねくれていない、未熟なだけです」と勝俣。また、卵ゆえの特徴的な動き方についても、「転んだら1人で起きられないんだよね(笑)」(竹中)、「ハンプティみたいな体型のおじさん、いますからね。小太りの人が可愛く見えてくるかも」(勝俣)と、ハンプティ談義で盛り上がった。
映画の主役、プスの見せ場について竹中は、「キティ・フワフワーテとダンスするシーンがものすごくキュートで好きですね。それとプスのお母さんの母性が見えるシーンがたまらない。プスと一瞬目が合う時は、『私はあなたを信じている』という目。信じるという気持ちが一番大切なんだと思いましたね」と、繊細に描かれた作品を絶賛した。
竹中と勝俣は、以前にドラマで共演した以来、15年ぶりの再会となった。「竹中さんは、あることないことめちゃくちゃ言うんですよ! 僕が“役作りで山に登った”とか“滝に打たれた”とか。知らない人は本当のことだと信じちゃうじゃないですか(笑)」と勝俣。それを聞いた竹中は「覚えてないね」と微笑み、さらなる悪戯を企んでいるようだった。そのサービス精神と自由さに満ちあふれた表情は、どこかプスのような雰囲気を感じさせる。
最後に、改めて作品の魅力について聞くと、竹中は「スケール感があって、リズム感がある。それでいて深みのあるストーリー」と話し、勝俣は「大切な人と、より強く手を握り直そうと思える作品。僕、家でハンプティ・ダンプティの声で話すと、小学生の娘が『涙が出ちゃうから止めて』って言うんです。娘は感動して3回泣いたそうです。そんな言葉を聞けただけでもやって良かったと思います」と誇らしげに語ってくれた。
オリジナル版では、プスをアントニオ・バンデランス、ハンプティをザック・ガリフィアナキスが声を務めているが、日本語吹替版では竹中と勝俣の息ぴったりのやりとりが子供と一緒に楽しめる。このふたりならでは個性的な声が、どんなふうにスクリーンで活躍しているか、それは是非とも劇場で確かめてみてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】