激しいHシーンよりもそそる、水中のラブシーンや言葉だけの愛撫シーンに陶酔

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激しいHシーンよりもそそる、水中のラブシーンや言葉だけの愛撫シーンに陶酔

『マリリン 7日間の恋』(11)でマリリン・モンローというセックスアイコンを演じ、第84回アカデミー主演女優賞ノミネートのミシェル・ウィリアムズ。主演最新作『テイク・ディス・ワルツ』(公開中)では、夫ルーと、運命的な出会いを果たしたダニエルとの間で揺れるヒロイン、マーゴ役を好演した。注目したいのは、少しずつ距離を縮めていくマーゴとダニエルのラブシーンだ。激しいセックスシーンよりも、お互い触れたいのに触れ合えないという寸止め感のあるラブシーンが何ともそそる。

メガホンをとったのは、女優としても活躍し、前監督作『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』(06)も高い評価を受けたサラ・ポーリー。夫との生活の中で空虚感を感じ始めた主婦のマーゴが、次第にダニエルと過ごす時間に光を見出していく過程を、実にリアルに紡ぎ出した。

ダニエル役に扮するのは、サミュエル・L・ジャクソンの製作総指揮&主演作『コンフィデンスマン ある詐欺師の男』(10月6日公開)も控えているイケメン俳優ルーク・カービー。セクシーなダニエルは、決して強引な男ではなく、あくまでも紳士的なところが魅力だ。彼が相手となると、セス・ローゲン扮するチキン料理しか脳のないレシピ研究家の夫ルーに勝ち目はなさそう。結婚後、封印したはずの恋心に火を付けられたマーゴの戸惑いも実にリアル。とはいえ、夫に情があるマーゴは、すぐにダニエルに乗り換えることができず、どっちつかずのまま悶々とした日々を過ごしていく。

このふたりの悶々としたラブシーンもどきの描写が秀逸だ。バーでダニエルと会っている時、マーゴは「あなたの愛し方を知りたい」と、挑発的な投げかけをする。ダニエルは彼女を見つめながら、言葉のみで彼女を愛撫していく(!?)というシーンがなんともエロい。また、彼女たちが夜のプールでふたりきりになり、愛を確認し合うように水中で戯れるシーンも官能的。だが、ダニエルに腕を捕まれた瞬間、逃げ出してしまうマーゴ。愛し合いたいし、触れ合いたいのに、一歩踏み出せないという寸止め感がたまらないのだ。

最後に、マーゴはある選択をする。果たして彼女が選ぶのは夫か、それともダニエルか。恋人、夫婦としてのあり方とは?そして幸せとは何か?心に色々な波紋を投げかける秀作のラブストーリーをじっくり堪能したい。【文/山崎伸子】

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