『ハンガー・ゲーム』ピータ役の神谷浩史「日常生活の方がよっぽどシビアですよ」

インタビュー

『ハンガー・ゲーム』ピータ役の神谷浩史「日常生活の方がよっぽどシビアですよ」

スーザン・コリンズの同名ベストセラー小説3部作第1部の実写映画版『ハンガー・ゲーム』(公開中)。全米では公開から4週連続興収1位に輝き、ブルーレイ・DVDがわずか2日間で約380万枚も売れるなど、社会現象にもなっている大ヒット作だ。日本でも9月28日に公開され、スマッシュヒットを放った。そんな本作の日本語吹替版で主人公のヒロイン、カットニスと共に第12地区の代表として戦うピータ・メラークの声を演じた神谷浩史に話を聞いた。

――本作を見た時、どのような感想を持ちましたか?

「生き残りを懸けたゲームというシチュエーションは、他の作品でもわりと見受けられると思いますが、この作品の特徴はスポンサーがいて、見ている人たちにアピールすると、スポンサーからパラシュートを使って、様々な物資を提供してくれるというシステムというのがとても独特でした。富裕層の人たちはショーとして見ているが、ピータやカットニスなどの貧困層には恐怖の対象。しかし基本的にはショーなので、登場のシーンも観衆に対してアピールするために、背中から炎が出ているような衣装を用意されるなど、民衆に対してアピールすることを含めてゲームになっていることが相当面白いなと思って見ました」

――実際にアフレコをされてのアニメと実写の違いや難しさなどを聞かせください

「生身の役者が演じていて、しかも英語ということもあり、音で感じるニュアンスとアニメと大きく違うと思います。あとは完成された作品なので、音楽が既に入っているので、シーンによっては声を抑えすぎると音楽に負けてしまうとか、盛り上がる音楽がかかっているとセリフも盛り上げるようにするように心がけるなど、その辺りが大きく違いますね」

――キャラクターの性格や行動で共感できる部分はありますか?

「ピータはカットニスに対する思いがきちんとありながらも、カットニスへのアピールがうまくない不器用なところが共感できました。男性はピータに共感して見てもらえると思います。カットニスに対する思いが少しでも伝わればと思って演じました」 

――もしも自分がハンガー・ゲームに出場することになったら、どのような戦い方をすると思いますか?

「基本的に僕はこういうのに全く向いていないと思う。一番にならなくちゃいけないじゃないですか。たぶん、世の中としては、ベストテンに入ること、たとえば学年で10位以内とか全国模試で50位以内に入ると『すごい!』と喜ばれると思うんです。ただ、ハンガー・ゲーム同様、社会に出ると一番にならないと何もほめてもらえないわけですよ。たとえば、オーディションを受けさせてもらって、『いやー、神谷君かもう一人の人というところまで残って、もう一人の方が選ばれたんだよね。神谷君は最後まで残ったんだけどね』と言われても嬉しくないわけですよ。ハンガー・ゲームには出たくないと言ってはいますが、日常生活の方がよっぽどシビアで、どうやってアピールして一位になっていくかを考えた方が良いんですよね(笑)。自分が一番良いと思うことをアピールしているつもりでも、2位以下になってしまうことが世の中多い。ハンガー・ゲームに通じるものがあって、社会の中で一番でないと評価されない人たちにもヒントがあるのではないか?と思いますが、わからないですね。僕はひたすら逃げますね。隠れていようかなと。ピータみたいな培った能力を活かしている部分もあり、面白いなと思って見ていましたが、あんなふうになるんじゃないですかね、きっと」

――本作のシリーズのこの先の作品にどのような展開を期待しますか?

「ピータにしてもカットニスにしても二度と関わりたくないと思うんですよね。ただ、物語として彼らが今後どうなっていくのか。ああいう終わり方をしているので、当然何かしらの形で強制的に関わらざるを得なくなってしまうのではないかと思います。その時に誰がどういう行動をとるのか想像もつかないですが、できればハンガー・ゲームの勝利者は一生の富と栄誉を得られるということなので、ピータたちが勝っていれば、次回はあまり関わらずに俯瞰で物語を見られる位置にいると良いなと思いますが、そうもいかないと思いますよね」

――映画をご覧になる方へのメッセージをお願いします

「非常にエンターテインメント性の高い作品だと思います。テーマとして日常生活ではありえないようなものを突きつけられて、それに対して主人公たちがどのように選択していくかを見せる作品がありますが、その究極系の作品。その究極を突きつけられた者たちに、より強い組織が、よりひどい無理難題を突きつけてくる。そして、それをあざ笑う聴衆たち。いったいこの先、彼らはどうなってしまうんだろうという純粋なるエンターテインメントの魅力を持った作品だと思います。僕は絶対にゲーム参加は嫌ですけど、もしこのような世界に自分が行ったらどうするんだろうと考えながら、先程も言いましたが、純粋にエンターテインメント作品として楽しんでいただけたら幸いです」【Movie Walker】

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