『黄金を抱いて翔べ』妻夫木聡が「日本映画の底力を感じた」と感無量
日本推理サスペンス大賞受賞の高村薫の同名小説を映画化した『黄金を抱いて翔べ』。本作の初日舞台挨拶が11月3日(土)、丸の内ピカデリーにて開催され、妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン、西田敏行、そして井筒和幸監督が登壇。妻夫木は「撮影している時から一人、一人が手応えを感じて、命を込めて作った映画です。こんなに日本映画に底力があるんだと、まじまじと感じました」と胸を張った。
大阪の街を舞台に繰り広げられる金塊強奪作戦を、『岸和田少年愚連隊』(96)、『パッチギ!』(04)などの鬼才・井筒監督が濃密に描き出す本作。豪華キャストが顔をそろえたことでも話題だ。浅野は「僕自身が集中して、でき上がりを楽しみに見た」、桐谷も「どっしりした映画ができた」、溝端も「個人的にも大好きで、こんな骨太な作品は最近珍しい」と、それぞれが作品への自信を語った。そんな一同と共にステージに立った井筒監督は、「見どころは全部です。久しぶりにこんなスター映画を撮った。みんな、孤独な役ですから、みんなが一致団結してストイックに頑張りました」と、実に誇らしげだった。
注目ポイントを聞かれると、妻夫木は「最後のシーンが特に好きですね。体がしびれちゃって、こんな格好良い日本映画があるんだって、感動してしまって。自分で自分の映画を見て泣いてしまった」と感無量の面持ち。また、井筒監督から、「彼は『パッチギ!』の首席卒業生です」と紹介されて、何とも嬉しそうな笑顔を見せていたのが桐谷だ。桐谷は「見どころは僕が着替えているシーンで見える、パンツの柄です。今でも時々、あのパンツを履いています。今日のパンツはそれとは違う鬼のパンツ。負けん気で来ました!」と語り、会場の笑いを誘っていた。
チャンミンは本作が映画初出演となり、影と秘めた熱意を持った国家スパイという役どころを見事に演じ切った。チャンミンは「個人的に初めての映画。初日からこんなにたくさんの方々が来てくれて、本当に感謝しています」と会場を見渡した。そして「ものすごくスピードの速い展開で、一秒、一秒を見逃したくないなと思った。それに注目して見てほしいです」と話し、大きな歓声を浴びた。
最後には、1kgの金地金が現在の相場で約460万円、7人分にすると3220万円を越える本物の金がお目見え。それぞれが黄金を抱いてフォトセッションに臨み、一同が「重たい!」と少年のような笑顔を浮かべていた。男臭いハードボイルドな世界を描いた『黄金を抱いて翔べ』。大勝負に挑む彼らの行く末を、是非とも劇場で見届けてほしい。【取材・文/成田おり枝】