観月ありさ、『映画 妖怪人間ベム』で21年ぶりの特殊メイク「昔とはここが違う!」
『映画 妖怪人間ベム』(12月15日公開)で観月ありさが、不気味さと妖艶さが入り混じった人間妖怪役に。特殊メイクをするのは、21年前の主演映画『超少女REIKO』(91)以来だったので、その技術の進化に驚嘆したという。観月ありさにインタビューし、特殊メイクの舞台裏や、ドラマからファンだったという『妖怪人間ベム』への思いについて聞いた。
1968年に放送されたアニメーションをベースに、亀梨和也、杏、鈴木福を迎えてドラマ化された『妖怪人間ベム』。劇場版では、ベムたち3人がある大手製薬会社の社員ばかりを狙う怪事件を追う。「ドラマを初めて見た時、アニメの世界がそのまま忠実に再現されていて、すごい!と思いました」という観月。「亀梨さんたちは、普段すごく自然体な方々だけど、妖怪人間になるとガラリと変わる。それを楽しみながら、一緒にお芝居をさせていただきました」と笑顔で語ってくれた。
人間でありながら、妖怪の能力を宿す人間妖怪の役だから、特殊メイクをするのだが、「身構える部分はあまりなくて、むしろ楽しみの内の一つでした」と振り返る。「ただ、右半身が妖怪化するんですが、私、右利きなんですよ。右手に特殊メイクを施すと、食事とかはいったいどうなるんだろう?という不安はありました。だから左じゃ駄目ですか?と提案したら、どうしても右でと言われたので、『それじゃあ、右で頑張ります!』ということになりました(笑)」。
特殊メイクは、日々改善していったそう。「この色を足した方がリアルに見えるとか、こうした方がはがれないとか、やっていくにつれ、どんどん能力が上がっていきました。私が特殊メイクをしたのは今から20年以上前だったから、今の技術に感動しましたね。たとえば、以前なら手にはめるものを作る型取りにすごく時間がかかったし、血管を浮き出たせるのも手動でシュポシュポやらないといけなくて。今みたいに機械でシューッとしたり、エアブラシのリアルなタッチで色の濃淡や影を入れたりする技術がなかったですから」。
右半身が妖怪化するということで、アクションは苦労を伴ったという。「右手に装着した刃の部分が重くて長いので、いつものアクションをする感覚だとずれてしまうんです。振ると遠心力で体がすごい勢いで回るし、慣れるのに時間がかかりました。ギリギリだと怖いから、ちょっと離れてやったりして。あと、真夏のロケだったので、かなりダイエット効果があったし、撮影中は右手が封印されることが多々あったので、左手がちょっと上手く使えるようになりました(笑)」。
初めて『妖怪人間ベム』の世界観に入った感想についても聞いた。「自分の出演作ですが、すごく落ち着いて見ることができました。そういうことって、あまりなくて。やっぱりでき上がった世界の中にぽんと身を置くのって心地良くいられるから、あとは作品にとけこむようにするだけでした。最初から携わっていると、まず、作品の世界観から考えますし、自分がどこまで出ていけば、共演者とのバランスが取れるかを、考えながら進めるんです。今回の作品に出演できたことは自分にとって、新鮮でした」。
完成した映画については、「台本の時点でもすごいと思っていたのですが、でき上がりを見た時、それ以上に素晴らしいなという感じを受けました。エンターテインメントなのに、大人が見ても、正義とは?悪とは?と問いかけたくなるような作品です。ドラマからさらにパワーアップした作品になっていると思いました」と太鼓判を押す。
『映画 妖怪人間ベム』では、ベムたちの活躍はもちろんのこと、観月ありさが体現した、美しきモンスターの狂気と母性愛も、見る人の心をとらえるに違いない。【取材・文/山崎伸子】