【直前予測】第85回アカデミー助演男優賞&助演女優賞

映画ニュース

【直前予測】第85回アカデミー助演男優賞&助演女優賞

現地時間2月24日(日)に開催される第85回アカデミー賞授賞式。2月19日に投票受付が締め切られ、あとは授賞発表を待つばかりとなったが、加熱する各メディアの分析から、助演男優賞と助演女優賞の受賞予測ををまとめてみた。

最近の傾向としては、助演男優賞及び助演女優賞は、この時点でほぼ一人が最有力候補として絞られており、その予測はほぼ的中している。しかし、今年に限って言えば、助演男優賞は一番の激戦区であり、予測不能なカテゴリーになっている。

その一つの理由として、誰にもダントツ感がないこともあるが、アラン・アーキン(『アルゴ』)、フィリップ・シーモア・ホフマン(『ザ・マスター』)、トミー・リー・ジョーンズ(『リンカーン』)、クリストフ・ヴァルツ(『ジャンゴ 繋がれざる者』)、そしてロバート・デ・ニーロ(『世界にひとつのプレイブック』)の5人ともが、過去にオスカー受賞経験のある俳優たちだからだ。これは実力派であると同時に、アカデミー会員から好かれていることを意味しており、今回ノミネートされなかったベン・アフレック監督(『アルゴ』)や、レオナルド・ディカプリオ(『ジャンゴ 繋がれざる者』)のように、会員の嗜好によって落選する人がいないこともあって、予測がかなり難しい。

アメリカ映画俳優組合賞ではトミー・リー・ジョーンズが、ブロードキャスト映画批評家協会賞ではフィリップ・シーモア・ホフマンが、そして第70回ゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞ではクリストフ・ヴァルツがそれぞれ助演男優賞を受賞している一方で、デ・ニーロやアラン・アーキンは主な賞レースで無冠に終わっており、少々出遅れ感があるのは否めない。

しかしindiewire.comは、デ・ニーロが『ゴッドファーザーPARTII』(74)、『レイジング・ブル』(80)に続いて、32年ぶりに3度目のオスカーを手にすると予想している。デ・ニーロが、実生活とも重なる精神障害を持った子供の父親役を感情たっぷりに演じたこと、そして『世界にひとつのプレイブック』(2月22日公開)が、主演男優、主演女優、助演男優、助演女優という4つ全てのカテゴリーでノミネートを果たしたのは、何と31年ぶりの快挙であることも、デ・ニーロを後押しする大きな要因になるという。

とはいえ、誰が受賞してもおかしくないという状況は変わっておらず、トミー・リー・ジョーンズかクリストフ・ヴァルツの可能性も捨ててはいない。一方で、フィリップ・シーモア・ホフマンに関しては、サイエントロジーの創始者をモデルにしていると言われる人物を演じていることから、受賞の可能性はほとんどなくなったようだ。

また、USAトゥデイ紙、FOXニュースら映画評論家による予想を掲載しているgoldderby.comでは、11人の評論家がトミー・リー・ジョーンズを、10人がデ・ニーロを挙げており、5人がクリストフ・ヴァルツを予測している。このように本命不在の状態で本番を迎えることになり、当日の受賞者発表シーンでどんなドラマが生まれるのかに今から期待したい。

一方の助演女優賞は、これまでメインとなる各賞を席巻してきたアン・ハサウェイがダントツの強さを見せている。goldderby.comでは、26人の評論家が満場一致でアンの受賞を予測しており、長い髪を切って丸刈りになり、11kgの減量で不眠症になってまで挑んだフォンテーヌ役で、アンが悲願の受賞を果たすことは間違いなさそうだ。

indiewire.comでも「ラッキーなことに、誰も強敵がいない」としてアンの受賞を確実視しているが、たった一つの例外として、『ノーマ・レイ』(79)、『プレイス・イン・ザ・ハート』(84)で二度アカデミー賞にノミネートされ、二度とも主演女優賞を受賞している『リンカーン』のサリー・フィールドの受賞の可能性を挙げている。「ダニエル・デイ・ルイス、ロバート・デ・ニーロと共に、サリーが3度目のオスカーを手にする可能性もある」というのだが、やはりここはアンの受賞が確実と見ておいて良いだろう。【NY在住/JUNKO】

作品情報へ