デンゼル・ワシントンが約束「アカデミー賞を獲ったら『アリガトウ』と言うよ!」

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デンゼル・ワシントンが約束「アカデミー賞を獲ったら『アリガトウ』と言うよ!」

第85回アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞にノミネートされている『フライト』(3月1日公開)。記者会見が2月20日にザ・リッツ・カールトン東京で開催され、4年ぶりに来日を果たした主演のデンゼル・ワシントンとロバート・ゼメキス監督、プロデューサーのウォルター・F・パークス、ローリー・マクドナルドが登壇した。主演男優賞・助演男優賞を含め、3度目のオスカー獲得に期待が高まっているデンゼルは、「アカデミー賞を受賞したら、日本語で『アリガトウ』と言うよ!」と嬉しい約束をしてくれた。

4年ぶりの来日について、「非常に誇りに思っているこの作品と共に日本に戻って来られて嬉しいよ。スシレストランの『ジロー』に行きたいね。誰か連れて行ってくれない?」と見渡し、会場の笑いを誘ったデンゼル。本作で彼が扮するのは、奇跡の操縦で乗客を救うも、その後、血液中からアルコールが検出され、疑惑の目を向けられるウィトカー機長役だ。プライド、恐怖、苦悩といった複雑な心情を圧倒的な存在感で演じ切り、心揺さぶるヒューマンドラマに仕上がった。

デンゼルは「とにかく脚本が素晴らしく、そこに全てが含まれていた。アドリブは一切要らないくらいにね」と脚本に敬意を表した。さらに「ジェットコースターのような起伏のあるキャラクターを演じるためには、色々な人に話を聞いてかなりリサーチをしたよ。役柄へのアプローチにはたくさんの種類があると思うんだけれど、私はまだ『完全に役柄をつかんだ』という感覚は持ったことがないんだ」と飽くなき向上心を明かしてくれた。

また、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(94)で知られる名匠ロバート・ゼメキス監督とは初タッグとなった。ウィトカーというキャラクターを作り上げるうえで、何度もふたりで深く話し合ったという。デンゼルは「ロバートは非常にリラックスした環境を作ってくれる監督。だからこそ、不安に感じず、リスクでも何でも試すことができたんだ」と振り返った。一方のゼメキス監督も「デンゼルと仕事をすることは、ワクワクして驚かされることばかりだった。一番驚いたのは、彼の取る選択が全て正しいこと。私は演出をしていないくらいだよ(笑)」とデンゼルと顔を見合わせ、育んだ絆について教えてくれた。

人間の善と悪に迫り、真の正義とは何かを訴える本作。とりわけ、主人公が「私は何者だ?」と自身に問いかけるシーンが印象的だ。記者から「あなたは何者だと思いますか?」との質問が投げかけられると、デンゼルは「一日、一日を精一杯、生きようとしている人間です。演じたキャラクター同様に、人間は誰もが欠点を持っているもの。私もベストな人間になるよう努力をしている途中なんだよ」と実直に語ってくれたことが非常に印象的だった。

ユーモアと誠実さにあふれたコメントで会場を盛り上げてくれたデンゼル・ワシントン。名実共にハリウッドでトップの座に立つその理由が見えてくるようだ。日本語での挨拶を確約してくれた、現地時間2月24日(日)のアカデミー授賞式にも大いに期待したい。【取材・文/成田おり枝】

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