こんなにいた!映画監督に兄弟が多い理由とは
『マトリックス』(99)を手がけた監督として知られるウォシャウスキー姉弟をはじめ、オスカーとパルム・ドールの両方に輝いたコーエン兄弟、ストップモーション・アニメーションの分野でカルト的な人気を誇るブラザーズ・クエイなど、映画界には兄弟で活躍する監督が少なくない。映画と兄弟には何か深い関係があるのだろうか?
そもそも、映画を発明したのがリュミエール兄弟であることを考えれば、まさに兄弟と共に映画は始まったと言えるかもしれない。それに加え、ここ15年ほどは、特に兄弟監督の活躍が目立っている。カンヌ国際映画祭において、史上7人しか達成していない二度のパルム・ドール受賞を果たしたダルデンヌ兄弟をはじめ、『メリーに首ったけ』(98)などのコメディ作品で知られるファレリー兄弟、双子の弟と共同制作を進める香港の監督オキサイド・パンまで、様々なジャンルにわたって兄弟監督が存在しているのだ。
また、名義こそ兄弟ではないが、『ダークナイト ライジング』(12)などのクリストファー・ノーラン監督の作品には、弟のジョナサン・ノーランが脚本として参加しているのも有名だ。その他、故トニー&リドリー・スコット兄弟や、ゲイリー&ペニー・マーシャル兄妹など、それぞれが監督として成功した例もある。最近では、『ダレン・シャン』(10)のポール・ワイツ監督と、『ニュームーン トワイライト・サーガ』(09)のクリス・ワイツ監督がそれに当たるだろう。
そんな海外の兄弟監督たちが活躍を見せる一方で、日本にはなぜか兄弟監督が少ないのが不思議だ。大森立嗣と大森南朋の監督&俳優兄弟がすぐに思いつくが、兄弟名義で活躍する監督となると、ほとんど見当たらない。他のジャンルに比べ、製作の労力やコストが高くなりがちな映画は、気心の知れた人間と二人三脚で作るのがむしろ自然なはず。だが、そもそも日本では、いわゆる芸術やアートを共同製作すること自体が、あまり一般的ではないのかもしれない。
映画界に数多く存在し、それぞれに多彩な活躍を見せている兄弟監督たち。タヴィアーニ兄弟の『塀の中のジュリアス・シーザー』(公開中)をはじめ、ウォシャウスキー姉弟の『クラウド アトラス』(3月15日公開)、コーエン兄弟の脚本作『モネ・ゲーム』(5月17日公開)など、上映中&公開予定の兄弟監督作品も目白押しとなっている。これらの作品を見て、兄弟監督ならではの魅力を発見してみてはいかがだろうか。【トライワークス】