ディカプリオが笑顔で休養宣言を否定「大好きな俳優を辞めるつもりはない」
公開中の『ジャンゴ 繋がれざる者』で、レオナルド・ディカプリオが約3年ぶり8度目の来日を果たし、3月2日に東京ミッドタウンで来日会見が開催。一部メディアに語ったとされる休養宣言から引退説まで囁かれていたディカプリオは、「ちょっと休暇をとりたいと言っただけだよ」と笑顔で休養宣言を否定した。
本作は、クエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』(09)以来3年ぶりの監督作。妻を奪われた元奴隷のジャンゴが彼女を救い出すためにガンマンとなり、白人権力者に挑む痛快なマカロニウエスタンだ。独創的なストーリー、ひと癖もふた癖もあるキャラクターなど、血の騒ぐようなタランティーノ流西部劇となっており、第85回アカデミー賞では脚本賞と助演男優賞の2冠に輝いた。ディカプリオは「僕は尊敬する、革新的な仕事をしている監督と仕事をしたいと思っている。タランティーノはまさにそういう監督だ。どんな役でも良いから、ずっと彼と仕事をしたいと思っていた」と待望のタッグについて語った。
ディカプリオが演じるのは、奴隷デスマッチ観戦が趣味という残虐な暴君のカルビン・キャンディ役だ。初の本格的悪役を嬉々として演じており、これにはタランティーノも大絶賛だった。「タランティーノはページから飛び出すような悪役を描いてくれた。キャンディはアメリカ人が触れたくないような、腐敗を象徴したような役。とにかく憎むべきひどい人物だよ。だからこそ、やりたいと思ったんだ」と振り返り、「自己陶酔して演じることができ、俳優として解放感を感じられる瞬間だった」と充実の表情を見せた。
また印象に残っているシーンとして、キャンディが骨相学について熱く語るシーンをあげた。「あのシーンは2ページに渡るモノローグだったんだ。バンバン机を叩いて芝居をしていたら、置いてあったシェリーグラスの柄の部分が手に刺さってしまって。第一に『痛い!』と思ったけれど、第二には『このシーンを使ってくれたら最高だ!』と思った」と熱心に語り、「ジェイミー(フォックス)は『ええ!?』という顔をしているし、タランティーノもカメラを回しながら、大丈夫かと気にしていたね(笑)。テーブルも血だらけだったけれど、血だらけの手で芝居をして、俳優としてハッピーな結果になった」とあふれる役者魂を明らかにした。
ディカプリオは1月にドイツ紙で「長い長い休暇を取ることにした」と話し、この日が休養宣言から初の公の場となった。ディカプリオは「マスコミにちょっとしたことを言うと、全く違う意味にとられてしまうことがある。2年で3本の作品に出たので、ちょっと休憩したいと言っただけなんだよ(笑)。大好きな俳優という仕事をやめるつもりはない」と、はっきりと明言。ファンにとっても嬉しい一言だった。
タランティーノ監督のもと、シビれるような演技を披露。新たな一面を開花させたディカプリオ。一作ごとにその役になりきり、見事に実力派俳優に成長した彼の活躍が、ますます楽しみでならない。【取材・文/成田おり枝】