第66回カンヌ国際映画祭、パルム・ドールは異例の3人に!
現地5月15日から開幕した第66回カンヌ国際映画祭が5月26日に閉幕した。
2013年は珍しく下馬評どおりの結果となったと言えるだろう。ほとんどサプライズのない、皆が納得の結果だ。スティーヴン・スピルバーグ委員長をはじめとする審査員団が“素直に、率直に”選んだ結果である。
受賞結果は次のとおり。是枝裕和監督の『そして父になる』(10月5日公開)が審査員賞を獲得したことで、日本映画に明るい話題を提供してくれることになった。
パルム・ドール:アブデラティフ・クシシュ監督『La Vie D'adele - Chapitre 1&2』
グランプリ:イーサン&ジョエル・コーエン監督『Inside Llewyn Davis』
審査員賞:是枝裕和監督『そして父になる』
監督賞:アマット・エスカランテ『Heli』
脚本賞:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督『A Touch Of Sin』
男優賞:ブルース・ダーン『Nebraska』
女優賞:ベレニス・ベジョ『Le Passe』
今回、パルム・ドールは特別に『La Vie D'adele - Chapitre 1&2Blue Is The Warmst Colour』のアブデラティフ・クシシュ監督と、2人の主演女優レア・セドゥとアデル・エグザルチョプロスに送られた。これは異例のことだが、スピルバーグ委員長いわく、「この映画は、この2人の女優を別の女優に変えたら成り立たない」ということだった。
キャスティングは映画の重要な要素であるが、これだけ、なくてはならない存在として俳優が評価されることも少ない。カンヌの規定として、パルム・ドールは他の賞と重ねてはならないことになっている。時々、審査員長によってはこの規定を無視する人もいるが、同じく審査員の河瀬直美監督によれば、「スティーヴン・スピルバーグは規定を守ると言っている」ための3人のパルム・ドールになったのだろう。苦肉の策とはいえ、なるほどその手があったのか、と審査員団の努力に拍手を贈りたくなった。【シネマアナリスト/まつかわゆま】