『イノセント・ガーデン』ニコール・キッドマンが感嘆したシーンとは?
『オールド・ボーイ』(03)で第57回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを、『渇き』(09)では第62回カンヌ国際映画祭審査員賞を、それぞれ受賞したパク・チャヌク監督。あらゆるタブーとバイオレンスを描きながら、抒情的な美しさをもたらす作品を作り続け、全世界で高い評価を受けている韓国映画界きっての奇才が、ハリウッドからのオファーを受けて完成させた最新作『イノセント・ガーデン』が現在公開中だ。
「脳内の細胞がわき立つ」「ずっとドキドキ。画や音が繊細で心を奪われる」「むごいシーンでも美しい。最後のインディアは格好良いのひと言に尽きる」「全ての映像がとにかく美しい」など、公開されるや、いち早く観賞した観客から、その圧倒的な映像センスと、少女が大人の女性へと変わる瞬間や、独特の世界観など、高い評価を得ている。本作にインディアの母イヴリン役で出演しているニコール・キッドマンが、インタビューで劇中の最も気に入ったシーンとして2つを挙げ、その映像が解禁となった。
1つは、イヴリンとミア・ワシコウスカ演じるインディアが、イヴリンの寝室で繰り広げる母娘の何気ない会話の場面だ。ブラシでとかされるイヴリンの髪の毛がそのまま草原の草に姿を変え、インディアの複雑なアイデンティティに関わる回想シーンへと変わっていくというものだ。ニコール・キッドマンは「最近の作品にはない演出だと思う。大きなスクリーンで見た時は息を飲んだわ」と答えている。
もう1つは、彼女が出演していないシーンだ。そういう気分になったインディアが、同級生の男子を誘惑している場面だ。月明かりの下で、インディアは意図があってか自分を魅力的に見せようと公園の中を動き回るが、夜の公園という特殊な空間を使いながら、観客もインディアに起こった内面の変化を感じることができる非常に印象的なシーンだ。ニコールは「子供のように遊ぶ2人の姿は幻想的だわ。でも突然、一転するの。このシーンを境にインディアが変わっていく。その描写が実に見事だわ」と、賛美の言葉を惜しまない。
いずれも、映像に重きを置いてストーリーを伝えるパク・チャヌク作品ならではの高い演出力が際立って感じられるシーンとなっている。デヴィッド・フィンチャー、バズ・ラーマン、ガス・ヴァン・サント、スタンリー・キューブリックなど、名だたる監督たちに愛され、作品眼も確かなニコールならではのセレクトと言えよう。
また、『イノセント・ガーデン』に出演することを決めた理由として真っ先にパク・チャヌク監督の存在を挙げ、「彼の作品には誰もが反応せずにはいられない。『オールド・ボーイ』を見た時は、映像の力強さに圧倒されて、手で顔を覆って画面を隠さずにはいられなかったけど(笑)。『イノセント・ガーデン』は過去の作品とはタイプが違うけど、彼の手腕は健在よ」と振り返っている。【Movie Walker】
■ニコール・キッドマン お気に入りシーンその2