見終わった後に“絶望”!?神木隆之介が明かす「SPEC」劇場版完結編

インタビュー

見終わった後に“絶望”!?神木隆之介が明かす「SPEC」劇場版完結編

戸田恵梨香×加瀬亮主演「SPEC」シリーズが、いよいよ完結。最終章は2部作となり、まずは前編『劇場版SPEC~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇』が11月1日(金)より公開となる。約3年間続いた本シリーズで、戸田扮するヒロイン当麻紗綾の弟・一十一(ニノマエジュウイチ)役を演じた神木隆之介にインタビュー。神木は「終わってしまうのは寂しいです」と言いながら、「SPEC」への思いや戸田たちとの共演秘話を語ってくれた。

警視庁公安部の特殊捜査官の当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)が、予知能力や念動力などの“SPEC”と呼ばれる特殊能力を持つ犯罪者(スペックホルダー)に立ち向かう「SPEC」シリーズ。ニノマエは、時を止められる能力を持つ最強のスペックホルダーで、当麻とは姉弟にもかかわらず敵同士に。

3年間同じ役を演じてきたのは、神木にとっても初めてのことだった。「これだけ長くやらせていただくと、役にも相当愛着が湧きます。自分にとって一番距離が近い役になったので、それが終わるとは、なかなか思えなくて。最後だと言われても実感がないんです。ニノマエは今後どこで出てくるんだろう、と考えた後で、ああ、もう出てこないのかって思い直したりして。本当に寂しいです」。

ニノマエはこれまでいろんな表情を見せてきた。「自分のなかでも変化していきましたが、いまは定着したという実感がすごくあります。最初は“美しくて怪しい”というテーマを決め、自分なりに想像して演じていたのですが、それがだんだん考えなくても動けるようになっていきました。堤監督が自由にやらせてくださったのもあると思いますが、今回リハーサルをやってみて、改めてそう思いました」。

姉・当麻役の戸田のことは「もう姉貴です。姉さんです!」と慕う。「お芝居をしている時も、休憩時間もそうでした。ずっと引っ張っていただきました。戸田さんが、紗綾役をやってくださったから、僕も感化されて倒す気満々となり、たとえ姉でも容赦無し、という気持ちになれたんです。まあ、いつも倒されますけど(苦笑)。でも、そう思えるのは、戸田さんが相手だからこそで、ニノマエにも火がつき、その結果、長い戦闘シーンが迫力あるものになったのではないかと思います」。

加瀬についても「姉貴がいれば、兄貴もいるって感じでした」と、信頼感は厚い。「加瀬さんが僕に、瀬文役についての意見を聞いてくださったことがあり、それは衝撃的でした。もちろん、うれしかったですが。加瀬さんとやる時は、2人でこうしようああしようとお話をしたりしましたね。また、ドラマの最終回で、ニノマエが時を止めるシーンがあったのですが、本当に寒くて。ニノマエは季節を感じさせない少年という設定だから薄着なんです。だから、かじかんでセリフを噛んでしまう。でも、加瀬さんたちはずっと止まったままでいなくてはいけなくて。その時は、加瀬さんから小声で『間違えるなよ』『早くしろよ』とずっと言われていました(笑)。現場は本当に楽しくて、加瀬さんは素敵なお兄さんだったなと思います」。

「SPEC」シリーズは、神木にとって思い入れの強い作品となったようだ。「何年も隣にいたような作品で、そういう経験も初めてでした。だから今後、『SPEC』は人生の一部にはなっていくと思います。代表作というか、参加させてもらったことを、一生誇りに思うだろうし、自分にとっても一番身近に思う作品となりました」。

最後に、本作の見どころについてこう語った。「見終わった後は“絶望”って感じでした。絶望のなかにどう希望を見出していくのか。どうなるんだろうという感じではなく、どうするのだろうという楽しみ方があると思います。『漸』を見たら、早く『爻(コウ)』も見たくなると思います」。10月23日に放映されたシリーズの前日譚を描くスペシャルドラマ「SPEC ~零~」では、2人の関係性や当麻の左手の傷のエピソード、瀬文の過去の事件の真相などが明かされ、ようやくパズルのピースが揃ってきた。そして物語は怒涛のクライマックスへ。まずはその前章『劇場版SPEC~結~ 漸ノ篇』をしかと受け止めて!【取材・文/山崎伸子】

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