第86回アカデミー賞ノミネート予測第1弾<助演女優賞編>
2014年1月16日に行われる第86回アカデミー賞ノミネート発表を前に、indiewire.com、goldderby.comなど業界関係者の分析による、カテゴリー別に業界予測をまとめてみた。
一般視聴者の趣向とは程遠いと言われ続けたアカデミー賞で、一昨年前には、1960年代の黒人差別を描いた『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(11)が大ヒットすると共に作品賞にノミネートされ、黒人女優のオクタヴィア・スペンサーが助演女優賞を受賞したことは記憶に新しい。そして今年もまた、黒人が主役の『12 Years a Slave』、『大統領の執事の涙』などが作品賞、及び各カテゴリーで有力候補になって話題を呼んでいるが、特に助演女優賞に関しては、黒人女性の勢力が圧倒的な強さを見せている。
現時点で一騎打ちと予想されているのは、元司会者で実業家のオプラ・ウィンフリー(『大統領の執事の涙』)と、長編デビューを飾ったルピータ・ニョンゴ(『12 Years a Slave』)で、共に黒人女性だ。
オプラは、『カラーパープル』(85)で同助演女優賞にノミネートされた過去があり、女優としてもなかなかの演技派だが、フォレスト・ウィテカー扮する執事役の妻を演じた今作では、オバマ米大統領からも絶賛される熱演でその実力を改めて証明している。一方、ルピータは、ケニアでは監督・脚本も手がける才女だが、アメリカ映画ではまだ新人女優。しかし同作で、マイケル・ファスベンダー扮する綿花農場主からゆがんだ寵愛を受ける奴隷を実に堂々と演じており、共に最有力候補と考えられているようだ。
それを追うのが、ベテラン女優のジューン・スクイブ(『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』)だ。主演男優賞の有力候補と言われているブルース・ダーンの妻役を演じ、スカートまでめくりあげて「F●●K YOU!」などと叫んでしまう勇ましくも愛らしい演技には、多くの評価が集まっている。
他にはオスカー女優のジュリア・ロバーツ(『ウォルト・ディズニーの約束』)、同じくオスカー女優のオクタヴィア・スペンサー(『Fruitvale Station』)、そして昨年主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンスは、デヴィッド・O・ラッセル監督作『アメリカン・ハッスル』で徐々にその存在感を強めており、侮れない存在になってきている。
『ウォルト・ディズニーの約束』のマーゴ・マーティンデイルや、『12 Years a Slave』でファスベンダー扮するエプスの妾を演じたサラ・ポールソンの名も挙がっているが、いずれもジュリア・ロバーツ、ルピータ・ニョンゴに票を奪われることになりそうだ。
また、サリー・ホーキンス(『ブルージャスミン』)、エイミー・アダムス(『Her』)、そして監督との確執とレズビアンセックスが物議を醸しながらもアメリカではヒット中の『アデル、ブルーは熱い色』のレア・セドゥ、そして「もし声優のみの出演でもオスカー候補になれるのであれば」という前提のもと、ホアキン・フェニックスの恋人でサマンサという人工知能を声だけで見事に演じきった(?)スカーレット・ヨハンソン(『Her』)のパフォーマンスも、助演女優賞に値するとの声も多いようだ。
なお第86回アカデミー賞授賞式は2014年3月2日に開催されるが、その前には第71回ゴールデングローブ賞も控えており、今後の動向に目が離せない。【NY在住/JUNKO】