仲間由紀恵に阿部寛が恨み節!『トリック』撮影最終日を振り返る
寂しい。『SPEC』に続き、『トリック』と、堤幸彦監督の人気シリーズが完結編を迎える。すなわち、仲間由紀恵扮する自称超売れっ子天才美人マジシャン・山田奈緒子と、阿部寛演じる騙されやすい天才物理学者・上田次郎の凸凹コンビを見られるのも、劇場版第4作『トリック劇場版 ラストステージ』(1月11日公開)で最後となる。14年間、シリーズに出演してきた仲間と阿部にインタビューし、クランクアップ日のエピソードや堤監督へのあふれる思いを語ってもらった。
『トリック』の最終章となる今作では、マレーシアのボルネオ島という秘境で、シリーズ初となる海外ロケを敢行。今回、奈緒子と上田は、貿易会社の商社マン・加賀美慎一(東山紀之)からの依頼で、最強の呪術師がもつ不思議な力の謎に挑む。仲間は、今回の現場について「長くやらせていただいているので、私たちは現場に入り、監督とスタッフさえいれば、奈緒子と上田のコンビネーションを簡単に取り戻せます」と言うと、阿部も「今回、久しぶりにやらせていただきましたが、すごく安心感がありました。僕がどんな芝居をしても、必ずそこで由紀恵ちゃんがキレの良い突っ込みを入れてくれます」とのこと。いまや、あうんの呼吸を見せる2人だ。
シリーズを手掛けてきた堤監督について仲間は「ファンのみなさんも私たちもそうですが、これだけたくさんの人々を14年間引っ張り続けてくださったことに、すごく感謝していますし、大変だったのだろうなとも思います。監督のなかには、新しいことをどんどんやろうというお考えがいろいろとあったでしょうし。本当にお疲れ様でしたという思いです」と感謝する。やはり最後の現場は、いつもとは違う気合を感じ取っていたとも言う。
阿部は、撮影終了後、堤監督からメールをもらったそうだ。「編集していて、涙が止まらなくなり、寂しいです、というメールをいただきました。堤さんらしくないなあと。あっさり終わったので(笑)。あの強い監督に、そんな思いがあったなんて。堤さんがこの作品を本当に愛してくれていたんだなと思い、うれしかったです。普段は強い人なので、そういう部分を見せないんだけど、メールだからこそ、心根というか本音をのぞかせていただけた気がします」。
でも、クランクアップ日は、どうだったのか?と尋ねると、阿部からは「僕は、けっこう忘れちゃったんです(笑)」と意外なコメントが。阿部は「僕の撮影が終わって1週間くらい後に、由紀恵ちゃんのシーンがあり、そこで本当にスタッフさんと最後を迎えたんですよね?そこでみんなでお別れをしたそうなんです。それを聞いてちょっと悔しかったです」と苦笑い。
仲間は「本当は一緒に終われたら良かったんですが」と申し訳なさそうに言った後「こっちはもう、みんなですごく感極まり、挨拶をしたり、スタッフで集まって記念写真を撮ったりました。阿部さんには一応メールでご報告しました」といたずらっぽい表情で自慢。阿部は「それを見て、ええ!?こんな終わり方したんだ!って。みんなが泣いてるんですよ」と不服そうに訴えると、仲間は「感動的なラストでした。まさか阿部さんがそんなにさらっと終わっていたとは」と阿部と顔を見合わせ、2人で大笑いをした。
話題騒然のラストシーンについて阿部は「最後、切ない終わり方でしたね。まさにキャラクターとのお別れ的な切なさというか、完結するんだなあと感じました。良い終わり方だと思いました」としんみりした表情を見せる。仲間は「今回で終わりということですが、ああいう世界観はきっと知らないどこかで続いていくのかなとも思える終わり方でした。もちろん、寂しさもありますが、一生お別れのような気がしないというか、不思議な気がしました」と感じたそうだ。すると阿部が「また『矢部謙三』をやるかもしれないよ」と、生瀬勝久主演のスピンオフドラマ『警部補 矢部謙三』について触れると、仲間は「そっちはやるんですか?みたいな(笑)。それも面白いですね」と大ウケ。2人のやりとりは、まるで奈緒子と上田のように和気あいあいとした雰囲気があり、それもコンビ結成から14年という歳月が生み出したものなのだと実感。
それにしても「トリック」の終了はやっぱり寂しい。でも、本当にこれが最後なのだから、奈緒子と上田の名コンビを、しっかりと見届けたい。『トリック劇場版 ラストステージ』は、まさにシリーズ集大成の内容となっているので、乞うご期待!【取材・文/山崎伸子】