ビヨンセ、NASAを激怒させる
ビヨンセが新アルバムの収録曲「XO」の冒頭部分で、1986年に起きた米国スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故のオーディオ・クリップを使用したため、事故で亡くなった宇宙飛行士の遺族やNASA関係者が激怒しているようだ。
ビヨンセが使用したのは事故発生時のNASA広報担当官による「飛行管制官は事態を注意深く見守っています。明らかに大きな事故です」という音声だ。現実にはこの後、チャレンジャー号が打ち上げ間もなく分解し、7人の飛行士たちが犠牲になったという悲劇が明らかになった。
同曲が収録されたビヨンセの新アルバムは記録的大ヒットになったが、NASAの関係者からはこの音声を含むPVの使用をやめるべきだという声もあがっているという。
爆発事故で死亡した飛行士ディック・スコビーの未亡人ジューン・スコビー=ロジャーズは、米ABCニュースの取材に対し「我々は、あの悲劇的な日の音声が『XO』のPVに使われていることに失望しています。それは犠牲者の遺族や同僚、友人たちにとって、耐え難い瞬間を含んでいます」と話している。
元NASA職員のキース・カウイングは、「あの音声を使うことは、ケネディ大統領の死を伝える声や、ワールド・トレード・センターからの緊急電話の声を、ただ人々に衝撃を与える目的でポップソングの中で使うことと同じだ」と語っており、NASA現職員には公にコメントすることは許可されていないが、批判の声が多くあがっているという。
これを受け、ビヨンセは「『XO』の録音は真摯な意図をもって行われたものであり、愛する者を失った人々の傷を癒し、予期せぬことは起こるのだということを私たちに思い出させるために作りました」と釈明している。【UK在住/ブレイディみかこ】
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