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第86回アカデミー賞のベストスピーチがロシアでカットされる

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第86回アカデミー賞のベストスピーチがロシアでカットされる

現地時間の3月2日に開催された第86回アカデミー賞は、プロデューサーの指示通り、多くの受賞者がスピーチで用意したメモを読み上げることなく自分の言葉で話した結果、歴史に残るスピーチが誕生した。

なかでもジャレッド・レトが、『ダラス・バイヤーズクラブ』(公開中)で自らも演じたエイズ患者や同性愛者のみならず世界中の人々に贈ったメッセージは、オスカー史上に残る名スピーチとも言われているが、残念ながら政治的背景を理由に、一部がロシアでオンエアされなかったことがわかった。

母親に女手一つで育てられたジャレッドは、生活保護受給者が受ける食券をもらい、トラックでボヘミアンのような移動生活を送りながらスターになった苦労人だ。

授賞式の会場に、母親と、自身もボーカルとして活躍するバンド「サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ」の、メンバーであり兄のシャノンを連れて来たジャレッドは、『ダラス・バイヤーズクラブ』での助演男優賞受賞のスピーチで、夢を見続けることを応援してくれた母親に感謝の意を述べると共に、政情不安が続いているウクライナとベネズエラに触れ、「この番組を見ている世界中の夢見る人々に送ります。ウクライナとベネズエラのように、夢を実現させるのが難しい状況にいるみなさんのことを思っています。どうか夢を見続けてください。そして諦めないでください」と語りかけた。

本来はロシアのネットワークTVチャンネルONEがオスカーを生中継する予定だったが、緊迫するウクライナ情勢を踏まえ、直前になってウクライナ情勢のニュースに特化するためにアカデミー賞のオンエア中止を言い渡されたという同チャンネル。スポークスマンは、「センサーにかけてセリフを削ったわけではありません。3日の月曜日に、3時間半の番組を1時間半に編集しなおしたために多くのシーンが削られたことから、たまたまそのシーンがカットされたのです」と、意図的ではないとしながらも事実を認めたと、ロサンゼルス・タイムズ紙が報じている。

米オバマ大統領は、ウクライナに対する一連の動きについて名指しで批判し、「軍事介入が実現されれば、ロシアに制裁措置も辞さない」と宣言。ジャレッドは、米露の緊張が高まる中できわめて政治色の強い発言をしたことについて問われ、「サーティー・セカンズ・トゥー・マーズは、数週間後にウクライナに行くんだ。フィリピンにも行くし、以前はベネズエラでもコンサートをやったんだ。つまり、僕にとっては世界中で起こっていることは無関係なことではないし、1人の人間として、インスタグラムやツイッター、フェイスブックでつながっている人たちの代表として、ああいうメッセージを送ることは大事なことだと思ったんだ」と、受賞後のインタビューで語っている。【NY在住/JUNKO】

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