セットも燃やした!ジョン・ウー監督入魂の炎上シーン
大ヒットを記録した三国志映画『レッドクリフ PartI』(08)の興奮も冷めやらぬうちに、続編『レッドクリフ PartII 未来への最終決戦』が4月10日(金)に公開される。公開に先駆け、ジョン・ウー監督が来日。単独インタビューに応じてくれた。
『PartII』の見どころは、何といっても後半40分間の戦闘シーン。「これだけ長い戦闘シーンは中国の映画史上、前例がありません」とウー監督は言い切る。
三国志でも有名な“赤壁の戦い”を映像化した本作。周瑜(しゅうゆ)と孔明率いる同盟軍が敵の曹操(そうそう)軍の船を火攻めにする様が壮大なスケールで描かれる。
「セットを本当に燃やしたんですか?」と監督に聞いたところ、「そうです(笑)。本当の船を30隻位作って、火攻めシーンの60%は実写で撮っています。その後でCGを加えました」とニッコリ。想像を絶するスケールの話を実に楽しそうに話す。
その“スケールの大きさ”は、製作費100億円でも足りずに、自ら私財10億円を投入したというエピソードからも伺える。それは主にこの火攻めの場面に使われたのだという。
「火攻めで戦艦を破るシーンはもちろん、『〜PartI』で趙雲(ちょううん)が子供を奪還するシーン、それに亀甲の陣(八掛陣)は元々1/3の予算しかありませんでした。それに、撮影中の天気など予想外のアクシデントがあって日数をオーバーしたことも予算が足りなくなった原因。でも、せっかくこんなに思い入れのある作品だから、完璧に作りたいと思って自分のお金で撮りました」と監督は熱く語る。
もうひとつ、ジョン・ウー監督といえば、作中に“白い鳩”を飛ばすことで知られている。そもそも、監督が本格的に鳩を取り入れたのは『狼 男たちの挽歌・最終章』(89)が最初。今や監督のトレード・マークともなった鳩へのこだわりは強い。
本作でも敵方の情勢を伺うために孔明が鳩を放ち、鳩は重要な役割を担う。「鳩を使う目的は2つあって、ひとつは伝書鳩の役割。もうひとつは、愛と反戦のメッセンジャーとして向こう側(曹操軍)の陣営に送りこむこと。あと、孔明の性格の象徴でもあるんです。活発でお茶目で純粋で…」うーん。あの鳩にそんな意味があったとは…。
「『〜PartII』では、頭脳戦が使われていて、風の勢いを借りて火攻めで曹操軍を破るシーンが壮大な見せ場となっています。また、人間ドラマもしっかり描いているので、戦闘シーンを味わうと同時に、(作品に込めた)メッセージもみなさんに感じとってもらえたら」と監督は結んだ。
『〜PartI』でこれでもかと煽った期待を裏切ることなく、見事に完結させた『レッドクリフ PartII 未来への最終決戦』。ド迫力の爆発シーンはぜひ劇場のスクリーンで!【ライター/清水千佳】