宮沢りえ、7年ぶりの映画主演で「ため込んだものをすべて出し切った」
『桐島、部活やめるってよ』(12)で注目を集めた吉田大八監督の最新作『紙の月』(11月15日公開)。直木賞作家、角田光代の同名小説をもとに、平凡な主婦が起こした巨額横領事件を描くヒューマン・サスペンスだ。8月21日、パークハイアット東京で本作の完成報告会見が行われ、主演の宮沢りえ、共演の大島優子、小林聡美、そして吉田監督と原作者の角田が登壇。集まった報道関係者に対して宮沢は「7年ぶりの主演映画。これまでにため込んだものをすべて出し切った」と、本作にかける思いを語った。
銀行の契約社員として働きながら横領に手を染め、破滅へと進んでいく主人公、梅澤梨花を演じた宮沢。「吉田監督のリードによって、キャラクターの輪郭がハッキリしてきた」と振り返りつつも、「『見たことのない自分に出会いたい』という思いから、この役を引き受けました。完成した映画には、本当に見たことのない自分が画面に写っていたんです」とコメント。これまでに演じたことのない役だったと明かした。
一方、原作にはないオリジナルのキャラクターとして登場する大島と小林。大島は「大先輩のお芝居を間近で見られて、本当に勉強になりました」と貴重な体験だったことを強調。「こんな大先輩でも監督の指示に対して考えて、調理して、提出するんだ…と。『わざわざ隠す必要はないんだ』と痛感しました」とコメントした。また、小林は自身のキャリアを振り返りながら「親しみやすいキャラクターを演じることが多いのですが、今回はとっつきにくいような怖い感じで演じました。自分でもさすがに怖いと思いましたね(笑)」と、宮沢と同じく過去に演じたことのないタイプの役柄だったと語った。
最後に吉田監督が「角田さんの原作を読んだ時、世の中のいろいろなことに牙をむいているな、挑戦しているなと感じた。映画化にあたって、こちらも挑戦する姿勢がなければ失礼。その答えとしてオリジナルのキャラクターを登場させたんです」と解説。これに対し、角田は「映画化はいつも嬉しいんですが、今回は本当にもの凄い映画だと思った。素晴らしいです。私にはとても書けないですね(笑)」と冗談交じりにコメントしつつ、映画については大絶賛。「素晴らしい」を繰り返し、会見を締めくくった。【取材・文/トライワークス】