神木隆之介、『るろ剣』宗次郎の“崩壊”シーン秘話を明かす!

インタビュー

神木隆之介、『るろ剣』宗次郎の“崩壊”シーン秘話を明かす!

大ヒットを記録している『るろうに剣心 京都大火編』(公開中)。キャスト陣の見事なハマりっぷりも話題となっているが、中でも、原作ファンも巻き込み観客を熱狂させているのが、瀬田宗次郎を演じる神木隆之介だろう。彼自身が原作ファンであり、宗次郎は「大好きなキャラクター」だったとか。宗次郎役の完成度の高さは、「この役を手にしたのは、奇跡」と語るほどの、神木の並々ならぬ思いが結実したものだった。『るろうに剣心 伝説の最期編』(9月13日公開)を前に、宗次郎役への熱をたっぷりと語ってもらった。

神木が和月伸宏の原作と出会ったのは、「本屋さんでたまたま手にした時」だったという。彼はすぐに、喜怒哀楽のうち、楽以外の感情が欠落した“天剣の宗次郎”に魅了された。「僕にとってはカリスマ性のあるキャラクター。どんどん惹かれていきました」と明かすが、とりわけ、宗次郎が見せる“縮地”という移動術を見た時は、ものすごく興奮したそう。「やっぱり男子なので、戦闘ものが好き。宗次郎の縮地を見た時、『うわ、速い!宗次郎、消えるんだ!』とワクワクしながら読んでいたんです」。

前作の撮影が始まったと聞きつけた神木は、続編があるかもわからない段階で、「頑張っていればいつか宗次郎役に近づけるかもしれない」と思い、なんと「勝手にひとりで縮地を練習した」というのだから、その熱はハンパない。さらには、練習の成果を剣心役の佐藤健に披露してみたそう。

「僕と同世代で、原作を読んでいる人ってあまりいないんですよね。(佐藤)健くんは原作ファンだし、僕の縮地への思いもわかってくれるはずだと思って、彼の目の前で縮地をやってみたんです。そうしたらまさかの失笑。『ああ、良いじゃん』ってどんなリアクションをしたら良いかわからないという感じで(笑)。でもその思いを貫き、宗次郎役をやらせていただくことができた。奇跡ですね」。

「大好きなキャラクターだからこそ、ハードルを高く掲げました」と役作りへの妥協は自分が許さなかった。「“優しい狂気”が出たらいいなと思って。その矛盾が出て、気持ち悪く見えたらいいなと」と神木。そのためには、「『笑うべき時に笑う』ということを大事にしていました。笑顔は宗次郎のシンボルだけれど、あえてそれを制限して、出すべき時に理由をつけて出してみたり」と、原作のスピリットを受け継ぎながら、実写ならではのアイディアも盛り込み宗次郎役を作り上げていった。

激しいアクションにも挑んだが、「僕にとって、初めてといっても過言ではない本格的アクション。半年間ずっと練習してきました。健くんを目標にして、健くんを脅かすような存在でいたいなと思いながら、殺陣をやってきました」と、剣心=佐藤健の存在が大きな支えとなったようだ。

『伝説の最期編』での剣心との戦いは、見る者を圧倒するような壮絶なシーンに仕上がった。『京都大火編』では新月村で一度、剣心と対戦しているが、「新月村より、本当に殺しにいっている感じ。『伝説の最期編』では、本気モードを全面に出す意識はしていました」とニッコリ。「2作の間で撮影期間も空いていたので、その中でアクション練習もできて。自分自身でも、最後の戦いまでには成長できていると思います。映画を観て、『あれ?こんなに速かったっけ?』と思いました。超・俊足同士の戦いです」と自信をのぞかせる。

最大の見せ場となるのが、剣心と戦い、主張をぶつけ合う中で、宗次郎が“崩壊”していく瞬間だ。神木の演技力をまざまざと見せつけられる、名シーンと言えるだろう。神木は「大変でしたね」と撮影を述懐。動きに関しては、アニメを見て参考にしたという。「アニメとほとんど同じに演じているんです。少しのけぞって頭を抑えて、『ワー』っと叫んで床に頭を打ち付ける。映画では暗くてよく見えないかもしれませんが、すべてやっています」というから、アニメと見比べてみるのも面白そうだ。

「アニメと同じ動きをやってみよう」というのは、神木自身のアイディアだったそう。「リハーサルでいきなりやってしまったんです(笑)。大友(啓史)監督の現場は何をやってもいい。どこに行ってもいい。自由なんです。だから怖いんですけれどね」と笑うが、最後に大友組での充実について、こう語ってくれた。「僕らは、いかに大友監督に喜んでもらえるかを心持ちにしているところがあって。『いいね、それ!』と言ってもらえるかが勝負というか。大友監督は、本当に素敵な方。尊敬しています」。“大友号”という大きな船で、憧れの役を思う存分演じ切った神木隆之介。その完成度の高さは必見だ。【取材・文/成田おり枝】

関連作品