瀬田宗次郎役で人気沸騰!神木隆之介、キラリと輝く理由とは?
成長と進化目覚ましい俳優・神木隆之介。『るろうに剣心 京都大火編』(公開中)、『るろうに剣心 伝説の最期編』(9月13日公開)では、瀬田宗次郎役として壮絶なアクションにも挑戦。その演技力が、同世代の中でも抜きん出たものであることを証明している。1999年にデビューしてから、15年。浮き沈みの激しい芸能界で、彼がまばゆいほどの輝きを放つ理由とは?インタビューでその魅力に迫った。
神木が演じる宗次郎役は、剣心の宿敵・志々雄に最も長く仕える側近。不幸な生い立ちから、喜怒哀楽のうち“楽”以外が欠落。可愛らしい顔立ちとは裏腹に、微笑みながら人を殺すことができる複雑なキャラクターだ。
原作を読んで以来、「宗次郎ファンだった」という神木は、「闇を持っているキャラクターって、すごく良いですよね。どこか欠落しているような部分にすごく惹かれます」と告白。さらには「僕も欠落した部分を持っていたいんです」という。「僕は、普通の明るい21歳です。学生時代は学級委員もやっていましたし(笑)。そういった普通の部分も持ちつつ、一方で欠落した部分を持っていた方が、『こういう自分もいるんだ』と、自分自身に興味がわくのではないかと思うんです。だからこそ、宗次郎役をやっていてとても面白かったです」。
屈託なく笑いながらも、「役柄を通して、『こういう考え方の人もいるんだ』と勉強させてもらっています。自分の考えがあって、その他の考えがあってと、考えられる幅がどんどん広がっていくと良いなと思いながら、いつも役を演じています」と真っ直ぐな瞳を見せる。一つ一つの役を演じるだけでなく、きちんと自分の人間力の一部として育て上げているようだ。
志々雄の掲げる理念“弱肉強食”についてどう思うかと尋ねると、「世の中、案外そうだと思います」とうなずく。「スポーツの世界でも、どれだけ惜しい戦いをしたとしても、結局は勝者か敗者になるわけで。要は、敗者は負けをどう受け入れて、次へ進むか。勝者はうぬぼれずに、どう次へ進むか。勝ち負けが前提にあって、その後に、勝ち負けだけじゃない道徳的なものがある。その3つのバランスで成り立っているんだと思うんです」。
競争が伴うという意味では、芸能界も同じだ。「オーディションは残酷なものです。頑張ったとしても一次審査で落ちてしまうということは、よくあります」と厳しい世界で生きていることを実感しているが、そんな彼が大事にしているのは、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉だ。「母の教えなんです。立派な人ほど、腰が低いのかなと。僕はまだまだですけれど、この世界で人を尊敬できるような人間になっていきたいです。もちろん、自分の主張も多少なりとはすると思いますが、きちんと人を敬えるような人間になりたいですね」。
昔は迷う時期もあったそうで「中学生の後半、自分のことがよくわからなかったり、どう振る舞っていいのかわからない時期があって」と振り返る。続けてこぼれたのは、そばにいてくれるスタッフへの感謝の気持ちだ。「そんな時にマネージャーさんが『ありのままでいいんだよ』と言ってくれたんです。すごく楽になりましたね。例えば僕、舞台挨拶とかすごく苦手で。緊張してよく噛んでしまうんです(笑)。もっと良いことをしゃべろうとして失敗してしまうのですが、そういう時に『簡単でもいいから、素直に自分の言葉でしゃべればいいんだよ。自分のままでいい』と言ってくれて。その言葉は、僕にとって大きなものでした」。
謙虚な姿勢に見える“柔らかさ”と、自分の考えをしっかりと持とうとする“強さ”。2つが同居するみずみずしい存在感こそ彼の魅力と感じるが、どうやらそれは身近な人々への感謝の気持ちが育んだもののようだ。改めて、本作は自身にとってどのような作品になったのだろうか。
すると「僕にとっては、夢の中にいたような作品です」と笑顔を弾けさせた。「自分の愛しているキャラクターはここまでも追及したくなるのかと、底が知れない探究心を味わうことができた。大友(啓史)監督のもと、すべてが良い環境で撮影できました」。人懐っこい笑顔の中に、無限大の可能性を秘めた神木隆之介のこれからが、ますます楽しみで仕方ない!【取材・文/成田おり枝】