周防正行監督、『Shall we ダンス?』の成功は複雑?その知られざる心境を明かす!

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周防正行監督、『Shall we ダンス?』の成功は複雑?その知られざる心境を明かす!

周防正行監督によるハートフルコメディの傑作『Shall we ダンス?』(95)の“4K Scanningデジタルリマスター”バージョンの特別上映が9月11日にテアトル新宿で開催され、周防監督がトークショーに出席。周防監督の妻で女優の草刈民代も飛び入り参加し、『Shall we ダンス?』の撮影秘話を披露した。

“4K Scanning”とは、映画作品のオリジナル・ネガフィルムを4K解像度でひとコマずつスキャン、フィルムの情報量を余すところなくデータ化したもので、周防監督は「撮影当時のフィルムの質感を鮮やかに再現している。フィルムの良さを損なわない。それが一番の驚きであり、特徴」と最新技術に驚いた様子。「フィルムならではの美しさを味わっていただきたい」と会場に訴えていた。

客席にいた草刈もステージに上がって、トークショーに参加。夫妻の出会いともなった『Shall we ダンス?』について、思い出話に花を咲かせた。草刈演じるダンス教師役について周防監督は、「非日常的な装いで、近寄りがたい女性を探していた時に、『草刈民代さんがいいんじゃないか』と1日に3人から推薦が重なった」と述懐。「実際に会ってみたら、本当に近寄りがたくて。一目見た時に、この人の半径5m以内には入れないなと思った」と明かすと、会場も大爆笑だった。

また、『シコふんじゃった。』(92)は「僕のセンスがむき出しになった作品」、『シコふんじゃった。』(92)は「多くの人に物語を伝えようとした作品」と周防監督。続けて『Shall we ダンス?』はどんな作品?と聞かれると、「嫁さん探しの映画。これはネタです」と話して会場も大爆笑。

さらには「自分のセンスをまろやかに活かしながら、人にきちんと物語を伝えるようなものが運良くできてしまった。僕にとって、嫌でもメモリアルとして示されてしまう。あれは世間的な到達点に過ぎない」と複雑な心境を吐露。しかしながら「最近ではそういう映画が作れてしまったことは、やっぱり幸福なことだと思う」と晴れやな笑顔を見せると、草刈も「私にとって人生の転機でもあったし、自分が開花した第一歩だったと思う」とニッコリ。仲睦まじい夫妻の様子に、会場からも終始、笑顔がこぼれていた。

本上映は、9月13日からの周防監督最新作『舞妓はレディ』公開を記念したもの。『Shall we ダンス?』(95)のほか、『シコふんじゃった。』(92)、『ファンシイダンス』(89)の3作品が“4K Scanning Blu-ray”として9月12日よりリリースされる。【取材・文/成田おり枝】

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