ジャッキー・チェンからドウェイン・ジョンソンへ。『ヘラクレス』の監督が語る最愛のキャスト

インタビュー

ジャッキー・チェンからドウェイン・ジョンソンへ。『ヘラクレス』の監督が語る最愛のキャスト

ギリシャ神話最強の英雄ヘラクレスの伝説を描いた超大作『ヘラクレス』(10月24日公開)で来日した、ブレット・ラトナー監督を直撃。『ラッシュアワー』シリーズや、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』 (06)などで知られるラトナー監督。今回のインタビューでは、主演のドウェイン・ジョンソンとの撮影秘話から、多大な影響を受けたというジャッキー・チェンのエピソードまで、いろんな話をしてくれた。

全能の神ゼウスの息子であるヘラクレスが、悲しみを胸に秘めながら、5人の仲間たちと放浪の旅に出る。人間味あふれるヘラクレスの葛藤と、仲間たちとの友情のドラマ、そして冥界の王・ハデスの末裔と繰り広げる激しい戦闘シーンが見ものだ。「『スパルタカス』(60)や『ベン・ハー』(59)、『七人の侍』(54)のような壮大な映画を作りたかった」とラトナー監督は言う。

ラトナー監督作史上最大級の規模の撮影となった本作。プレッシャーについて尋ねると、「いやあ、楽しかったよ。非常に」と余裕をにじませる。「軍隊のエキストラだけでも何千人もの人がいるから、ヘアメイクだけでも何千人といたし。馬も何百頭といるので、それを世話する人が何百人必要だった。毎日、自分の軍隊をオペレーションしているような気持ちになれたよ」。

ヘラクレス役を演じたのは、WWFでプロレスラーの“ザ・ロック”として名を馳せたドウェイン・ジョンソンだ。「彼は、非常に熱心にヘラクレスを演じてくれた」と太鼓判を押す。「彼のすごいところは、自分のもろさを見せることを嫌がらない点だ。他のアクションスターは、通常、自分をクールで格好良く見せたがる。自分のことしか考えないタイプが多いけど、ドウェインは、他のキャラクターを輝かせることを厭わない。彼は、すごく謙虚なんだ。それは人間としても役者としても素晴らしい才能だと思う」。

実はドウェインは『ヘラクレス』の撮影の前に、WWE主宰のレッスルマニアで大ケガを負ったが、強靭的な回復力と精神力を見せ、共演者やスタッフを驚かせたそうだ。「普通の人だったら半年は何もできないような状態だったと思うけど、彼はいつも鍛えているし、本作を心からやりたかがっていたので、数週間遅れで撮影に入ってきたんだ。そういう状態だったから、僕たちもすごく気を遣い、これ以上やってはいけないというリミットを設けたけど、それでも彼は、僕が今まで仕事をした誰よりもものすごいアクションをやってくれた。もちろん、ジャッキー・チェンを除いてね」。

ドウェイン・ジョンソンのことを称える一方で、『ラッシュアワー』シリーズで組んだジャッキー・チェンの偉大さについても饒舌に語ってくれたラトナー監督。ジャッキーとの撮影期間について「僕はとんでもない映画教育を受けたと思っている。ジャッキーは私が生きている年月よりも長い間、映画を作ってきたわけで。僕はNY大学で映画を勉強したけど、それ以上のものを僕は彼から学んだよ。それはもっと実用的で、もっとシンプルなことだ。たとえば予算がなければクリエイティブなやり方でカバーするしかないんだけど、ジャッキー・チェンと仕事をすると、ギリギリまで一緒に考えて、最終的にはそれができてしまうんだ」。

これまで僕の最愛の俳優はジャッキー・チェンだと言っていたラトナー監督だが、「新しい最愛のキャストに出会った」というのがドウェイン・ジョンソンだ。ラトナー監督にとっては、特別な存在となったドウェイン。2人の深い信頼関係は、『ヘラクレス』を見たら、大いにうなずけるはずだ。【取材・文/山崎伸子】

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