女優・大島優子、飾らずに“生身”をさらけ出す覚悟を固めた理由
2013年年末、突如発表された大島優子の卒業。この発表の直後に彼女は早くも女優として歩み始めていた。そのきっかけとなったのが、卒業後初の映画出演となる『紙の月』(11月15日公開)だ。「イメージの払拭」「独り立ちする覚悟」「殻を破るチャンス」。インタビューに応じた大島が語ったのは、“女優・大島優子”としての力強い言葉だった。
『紙の月』の撮影が行われたのは、AKB48在籍中の今年の1~3月。「卒業発表をしてまもなく、この映画の撮影がありました。ひとりで歩いて行かなければならないと強く感じていた時期でもあったので、新しい道への覚悟を決めようという気持ちでこの撮影に臨みました」。
その覚悟もあって、本作でアイドルの印象を消そうと心がけたという大島。「アイドルをやっているという影がまったく見えないように演じようと思いました。これはAKB48にいるときから演技の仕事をするときに心がけていたことなんですが、この作品でその思いがより強くなりました」。女優とアイドル、その2つの両立には葛藤があったという。「私がこれまでいた世界は、生身なんだけど、どこか生身ではない。努力している姿を周囲にひけらかすことは格好悪いことと考えていた自分がいて、あまりそういう姿は見せないようにしてきたんです」。
そんな大島に刺激を与えたのが、主演の宮沢りえの存在だった。「監督の指示をその場で瞬時に対応し演じていく姿は、とても印象に残っています。飾らずに生身の姿を出すべきなんだと気づきました」。これまで意識的に生身をさらけ出さないようにしていた大島にとって、「模索し、現状に満足しないで探求し続けることが、自分の殻を破るチャンスなんだと感じました。この作品に携われたことが、新しい道へ踏み出す勇気に繋がりました」と覚悟を固めるターニングポイントになったという。
『紙の月』で新たな一歩を踏み出した大島優子。「AKB48時代に経験したすべてのことが糧になっていると思います。これから出会う人、出会う作品、出会う場所のためにこれまでの過程があったと思うと、これから先待っていることすべてに挑戦出来る気がします」と意欲も十分だ。「正直、10年後どうなっているかはわかりません(笑)」と笑う大島だが、「芝居には正解がないし、何がゴールかもわからない。だからこそ、良い意味で現状に満足しない自分自身でいることで、いろいろなことを吸収し、成長していけたらと思っています」と演技に対する熱を言葉にして、インタビューを締めくくった。【取材・文/トライワークス】