役名でデビュー!『ソロモンの偽証』主人公の藤野涼子が「役をもらった感情を忘れたくない」と決意表明
ベストセラー作家・宮部みゆきの原作を成島出監督が映画化する『ソロモンの偽証』の製作報告会見が11月12日に明治記念館で開催され、約1万人の中から主人公に選ばれた14歳の新人女優・藤野涼子が出席した。劇中の役名でデビューすることも決まったが、「藤野涼子役の藤野涼子です」と挨拶。「『ソロモンの偽証』で藤野涼子役をもらって、その感情を忘れたくないという思いで名前をいただきました」とまっすぐな眼差しで、強い決意を語った。
この日出席したのは、藤野をはじめ、オーディションで生徒役に選ばれた板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩。そして、大人キャストの佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、尾野真千子、成島出監督、原作者の宮部みゆきの総勢14人。
主人公に決まったときの心境を聞かれると、藤野は「喜びというよりは、緊張に見舞われた。こんな大役を自分が務められるのかという不安。なぜ演技経験の少ない私が選ばれたのか、疑問でいっぱいでした」と緊張の面持ち。メガホンをとった成島監督は、「それぞれ個性はあるが、こいつら、痛々しいほど純粋なんです。魂が美しい」と生徒役キャストを選んだ理由について明かしていた。
主人公・涼子の父親役を演じるのが佐々木で「裸一貫、体当たりでシナリオと向き合って、もがきながら現場で戦っている姿に衝撃を受けた。彼ら彼女らに教わり、支えるつもりが支えられた」。23年後の涼子役を演じる尾野も「全身全霊で嘘をつくことなく、芝居に向き合っていた。私も生半可な気持ちではいけないと思った」と若手キャスト陣の熱意に心を打たれた様子だ。
藤野は、尾野を見つめて「鋭くきれいな瞳だなと思いました。20年後、尾野真千子さんのようなきれいでかっこいい女性になりたい」とニッコリ。終始、真摯かつ初々しい佇まいで会場を魅了していた藤野だが、自身の作り出したキャラクターの名前を背負った女優が誕生することとなった宮部は「名前ぐらいでいいなら『どんどん使って』というくらい、本当に嬉しい。この作品を書き上げて良かった。これが、作家冥利だなと思いました」と大きな喜びを語っていた。
宮部が構想15年、執筆に9年を費やした原作をもとに、男子生徒の謎の転落死をきっかけに、次々と起こる不可解な事件を描く本作。『ソロモンの偽証』二部作の<前篇・事件>は15年3月7日(土)、<後篇・裁判>は15年4月11日(土)に公開される。【取材・文/成田おり枝】