綾野剛、主演男優賞受賞作は「面倒くさいライバル」

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綾野剛、主演男優賞受賞作は「面倒くさいライバル」

第36回ヨコハマ映画祭の表彰式が、2月1日に神奈川県立音楽堂で開催され、綾野剛、大島優子ら日本映画界をにぎわせる豪華ゲスト陣がそろって登場。『そこのみにて光輝く』で主演男優賞を受賞した綾野は、「面倒くさいライバルになってしまった」と受賞作をライバルと表現。「新しい壁が必要になってくる。『そこのみにて』のときの綾野がよかったと言われ続けるのを、1年でクリアしたい」と力強く語り、会場から大きな拍手を浴びた。

36回を迎えた同映画祭は、スポンサーを持たないファン手作りの催事として人気を誇る映画祭。『そこのみにて光輝く』は、主演男優賞のほか、作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞と合せて5冠を達成。圧倒的な支持を集めた。共演者の池脇千鶴、菅田将暉も注目を集めたが、池脇について綾野は「日本の宝」とコメント。菅田については「気持ちいいくらい吸収する。一緒にやっていてどんどん吸収されている感じがした。パワーがすごくて楽しかった」とその精力的な姿に驚いていた。挨拶の後には、会場がどよめくほど多くのファンが花束を持ってかけつけ、綾野はステージ下に降りてファンと交流。ファンを喜ばせた。

メガホンをとった呉美保監督は、「映画は一人ではできない、みんなで作るもの」と周囲に感謝しきり。また「綾野さんは、撮影前に『綾野剛は東京に置いていく』と彼らしい名言をいっていた。綾野さんじゃないとできない役。素敵だった」と主演の綾野を絶賛。綾野もうれしそうな笑顔を浮かべていた。

主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞W受賞の計4冠を獲得したのが、『紙の月』。主演の宮沢りえは残念ながら欠席となり、吉田大八監督が宮沢からの手紙を代読。助演女優賞の大島は「認められたという思いと同時に、恐怖心もある。期待してもらっているという、みなさんの愛の鞭だと思って賞を受け止めたい」と気持ちを引き締め、「宮沢りえさんの気迫に圧倒されていた。負けたくない思いでいた。どうにか立ち向かわなければいけないという思いが、表情に出たと思う」と宮沢の存在が、力強い演技を引き出してくれたという。

映画ファンより最高の敬意をこめて贈られる特別大賞には、津川雅彦が選出された。津川は「ファンの方が選んでくれる賞。こんなにうれしいことはない」と喜びをかみしめ、「大事なのはお客さんと我々。いかに見て下さった方の心に芝居が届くかを大事にしていきたい。ヨボヨボでも車椅子になっても、そういう役もありますから。セリフさえ覚えられれば101歳の役だってある」と衰えぬ意欲を語り、会場を沸かせていた。【取材・文/成田おり枝】

【第36回ヨコハマ映画祭受賞結果】

■作品賞:『そこのみにて光輝く』(呉美保監督) ■監督賞:呉美保監督(『そこのみにて光輝く』) ■森田芳光メモリアル新人監督賞:久保田直監督(『家路』) ■脚本賞:高田 亮(『そこのみにて光輝く』『銀の匙 Silver Spoon』) ■撮影賞:近藤龍人(『そこのみにて光輝く』『私の男』) ■主演男優賞:綾野剛(『そこのみにて光輝く』) ■主演女優賞:宮沢りえ(『紙の月』) ■助演男優賞:池松壮亮(『紙の月』『ぼくたちの家族』) ■助演女優賞:小林聡美(『紙の月』) 大島優子(『紙の月』) ■最優秀新人賞:門脇麦(『愛の渦』『闇金ウシジマくんPart2』『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』) 清野菜名(『TOKYO TRIBE』『少女は異世界で戦った』) 佐倉絵麻(『ぼんとリンちゃん』) 高杉真宙(『ぼんとリンちゃん』) ■特別大賞:津川雅彦

■日本映画ベストテン第1位『そこのみにて光輝く』(呉美保監督) 第2位『紙の月』(吉田大八監督) 第3位『0.5ミリ』(安藤桃子監督) 第4位『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』(矢口史靖監督) 第5位『私の男』(熊切和嘉監督) 第6位『ぼくたちの家族』(石井裕也監督) 第7位『愛の渦』(三浦大輔監督) 第8位『家路』(久保田直監督) 第9位『野のなななのか』(大林宣彦監督) 第10位『ほとりの朔子』(深田晃司監督) 次点『舞妓はレディ』(周防正行監督)

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  • そこのみにて光輝く

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    佐藤泰志の同名小説を綾野剛主演、池脇千鶴、菅田将暉共演で映画化
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