野村周平と杉咲花、佐藤浩市と樋口可南子との共演を語る
北海道・美瑛町を舞台に、夫婦や家族の愛を綴った感動作『愛を積むひと』(6月20日公開)で、佐藤浩市や樋口可南子と共演した野村周平と杉咲花。映画やドラマにひっぱりだこの2人にインタビューし、本作で綴られた愛や、大先輩にあたる佐藤たちとの共演エピソードを語ってもらった。
『愛を積むひと』の原作は、エドワード・ムーニー・Jr.のロングセラー小説「石を積むひと」で、本作では舞台をアメリカから北海道の美瑛に移して映画化した。妻・良子(樋口可南子)に先立たれた篤史(佐藤浩市)が、彼女の残した手紙によって再生していく姿をつづる。野村は、篤史と共に石塀を作っていく青年・徹役を、杉咲は徹の恋人・紗英役を演じた。
野村は佐藤浩市と、杉咲は樋口可南子との共演シーンが多かったが、若き2人は、大先輩から何を得たのだろうか。野村は、佐藤から昔の映画業界の話を聞いたりしたそうだ。「『昔はもっと自由だったけど、いまはやりづらい世の中だよね。お前ももっと自由にやれば良いんじゃないの』と言われました。浩市さんの現場でのあり方や、撮影に入る前のみんなへの気の配り方などは、見ていてすごく勉強になりました」。
杉咲は樋口について「すごく明るい方で、現場にいらっしゃるだけで、なんだか賑やかになるんです」とうれしそうに語る。「現場を常に良い雰囲気にしてくださっていて、すごいなあと思いながら見ていました」。
野村演じる徹は、篤史と共に、毎日毎日、ひたすら石を運んで積み、石塀を作っていく。野村は「石はめちゃくちゃ重かったです」と述懐。「僕は若いからどんどん石を持っていかないといけなかったので、涼しい顔をして持っていくシーンが多かったのですが、あれはけっこうしんどかったです(笑)。10kgとかある石がざらにあったし、中には20kgある石もありました。僕よりも、浩市さんが心配でならなかったです」。
杉咲演じる紗英が、良子と料理を作るシーンも実に印象的だ。料理は、フードコーディネーターの飯島奈美が担当した。杉咲は飯島が料理を手掛けた『南極料理人』(09)が大好きだったそうだ。「飯島さんのお料理って、すごくおいしそうなんです。だから、今回ご一緒できてすごくうれしかったです。一度、ケータリングで飯島さんが作った料理を食べさせてもらったんですが、本当においしかったです」。
野村も「おいしかったよね」とうなずく。杉咲は「北海道の野菜を使ったメニューなんです。たとえば、ジャガイモごはんとか」と言うと、野村は「それは食べてないなあ」と残念がる。
野村は、みんなでバーベキューをするシーンに触れ「あの時は、本当にバーベキューしながら撮影したんです。浩市さんも芝居で焼いてくれていて。飯島さんが作ってくれる料理は、スープなども全部食えるので、弁当といっしょにいただいていました。本当においしかったです」と言う。2人とも撮影を相当楽しんだようだ。
この映画で語られる愛を、彼らはどんなふうに受け止めたのだろうか。野村は「すごく愛があふれている。友達感覚の愛や夫婦の愛、恋人同士の愛など、いろんな愛がある。あの夫婦が僕たちの面倒を見てくれるというのも愛だと思うし。僕らの役がああやって葛藤し、いろんな人と出会って変わっていく。それは、僕らが大人になった時に、若い子たちに受け継いでいくものがあるのかなと感じました」。
杉咲も、篤史と良子との夫婦愛にぐっと来たと言う。「2人はとても信じ合っているから、良子は自分が死んでしまうとわかった時、まず、相手のことを心配するんです。そういう愛を、そして相手を見つけられたこともうらやましいですし、良いなあと思います。また、浩市さんもおっしゃっていましたが、当たり前のことが当たり前じゃないと私も思います。どれだけ相手のことを信じられるか、また、そういう相手を見つけることも大事だなと思いました」
『愛を積むひと』を経て、いろんなものを受け取った野村周平と杉咲花。2人も言っていたが、本作は是非、若い人たちにこそ観てほしい作品だと思う。【取材・文/山崎伸子】