「ラストコップ」製作陣が語る映像配信の可能性【後編】
(【前編】からの続き)
岩崎「『THE LAST COP/ラストコップ』の企画の出発点はもう1つあるんです。それは、主人公が30年間(原作は20年間)昏睡状態だったという、ドラマの設定そのもの。人生の大切な30年間を失うって、ちゃんと考えてみるとかなり重大なことですから」
戸田「でも、本来ものすごく悲劇であるべきことが、このドラマを通して喜劇になるんですよね。悲劇一辺倒じゃなくて、笑いに変えられているところが、すごく人間臭いというか」
岩崎「ハチャメチャなベテラン刑事と現代っ子の新人刑事がタッグを組むという物語も、30年間眠っていたということを象徴する設定です。事件の捜査でも、京極(唐沢寿明)と亮太(窪田正孝)は全然違うアプローチをとりますし、それが幅広い世代の共感を得られるんじゃないかなと思います」
戸田「あと、じつはいろんな要素を贅沢につめ込んでいるんですよ。京極と元妻の加奈子(和久井映見)、娘の結衣(佐々木希)との関係性も、相当泣けるイイ話になっています。アクションも派手ですし、コミカルなシーンもたくさんある」
岩崎「ぶつかり合いながらも、そこから芽生える京極と亮太の友情にも注目してほしいです。歳の離れた相手と友情を育むことって、誰もが少なからず憧れると思うんですよね。バディものとして良い組み合わせだったと思います」
戸田「まさに唐沢さんのためにある企画でしたね。アクションもコメディもできて、若者と壮年期の両方を演じられる俳優なんて、なかなかいませんから(笑)。亮太役に関しては、天然ボケの京極にツッコミを入れなくてはいけないので、かなり腕が必要なんです。窪田さんならそういう関係性をうまく出せるんじゃないか…と思ってお願いしました」
岩崎「窪田さんはドハマりでしたね。シリアスな場面では本当に良い顔をしますし、唐沢さんが大ボケをかました時には可愛い顔してツッコんだりと、いろいろな顔を持ち合わせていて。その幅の広さが、唐沢さんにとってもすごく気持ち良かったんじゃないかと思うんです」
戸田「このバディに関してもかなり反響をいただいているので、積極的にシリーズ化に向けてチーム内で検討していきたいですね」
岩崎「シリーズ化はぜひ目指したいと思っています」
戸田「episode1の放送は当然ながら高視聴率獲得というのも非常に大きな命題でしたが、episode2以降は視聴率に左右されない(笑)。もちろん、Huluでのアクセス数はシビアな問題になってくると思いますが…」
岩崎「そうですね。このドラマの競争相手は、『24 -TWENTY FOUR-』などの世界中で支持されている作品なんです。Huluで配信しているコンテンツの中で、どれだけの人に『THE LAST COP/ラストコップ』を選んでもらえるか。“グローバル”と言ったら大袈裟ですけど、すごくフィールドの広い勝負になりますね」
戸田「家のTVでもリモコンのボタンを2回くらい押せば、Huluのコンテンツが見られますよね。もはやTVドラマだから、Huluの配信動画コンテンツだから、という垣根なくなりそう。たまたま地上波だった、Huluだったというくらい、映像コンテンツがシームレスになっていく気がします。視聴率のことばかり言われている、現状のTVの環境が変わるのかもしれませんね」
岩崎「『THE LAST COP/ラストコップ』では、地上波放送からオンライン配信への橋渡しがすごくうまくいきました。エンターテイメントを楽しむ方法がこれからさらに多岐に渡ってくると思うので、日本テレビもHuluも様々な挑戦をしていきます。そのなかでHuluとしても大きく成長していければ、と考えています」
【取材・文/トライワークス】