ビートたけし、ハリウッド巨匠作に「変質者の役」で主演
『スモーク』(95)のウェイン・ワン監督が初めてオール日本人キャストで邦画の監督に挑む『女が眠る時』の製作発表会見が7月11日にスパイラルホールで開催され、ビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリ、ウェイン・ワン監督が登壇。自作以外での映画主演は『血と骨』以来、実に12年ぶりとなるたけしが、本作への思いを語った。
『スモーク』でベルリン国際映画祭銀熊賞に輝くなど、ハリウッドを代表する巨匠のワン監督。本作は、ワン監督がスペイン人作家ハヴィア・マリアスによる短編小説「WHILE THE WOMAN ARE SLEEPING」を映画化する魅惑のミステリー。会見当日の7月11日にクランクアップ。年内の完成を目指し、2016年春に公開予定だ。
たけしは、「自分のキャリアの中でも久々に緊張して、手探りの状態がしばらく続いた」と苦笑いしつつ、「やってみて、役者としても監督としても良い勉強になった」とワン監督との仕事に充実の表情。演じるのは、謎めいた初老の男・佐原役。「台本を読むと、西島くんは絡みなんかがあるんだけれど、私には何もない。ただ情けない変質者の役」と役柄を紹介し、会場を笑わせた。
ワン監督作品については、以前より「好き」という気持ちを持っていたというたけし。「一言で表せられるような作品じゃない。そういう作品に参加できるのはうれしいし、この前が『龍三と七人の子分』というコテコテのお笑いだったので、浅草の花やしきからものすごい現代美術館に移ったような感覚。喜んでやりました」と刺激的な経験となった様子だ。
一方、初めての日本映画に挑んだワン監督は「中国やアメリカ以外の新たな文化、新たな国で、新たな発見をしてみたかった」と本作への思いを告白。また、「たけしさんは、この作品にとってもう一人の監督というべき存在。いろいろアイデアを出してくれた」とたけしに感謝しきりで、「私は日本文化についてよく知らないので、こういうときは日本人はどうするのかといろいろと質問を投げかけて。話し合いながらつくっていった」と活気にあふれた現場の様子を明かしていた。
ワン監督とたけしとがふれあう現場に、「偉大な映画作家のお二人とご一緒できた。毎日が夢のような日々で、撮影が終わってしまって落ち込んでいる」と打ち明けたのが西島だ。ワン監督は脚本を現場で変えることもあるそうだが、「刺激的で気の休まる間もない、だけど充実した時間でした。監督が質問をされて、北野さんがアイデアを出されて、どんどんふくらんでいくのを目の当たりできたことは、僕にとって俳優人生の財産」と感慨深けに話していた。【取材・文/成田おり枝】