篠原涼子の「バカか、お前は」に永山絢斗が感激!
そう来たか!と、毎回、気持ちが良いほど予想を裏切る展開を見せてきた『アンフェア』シリーズ。ご存知、篠原涼子演じる敏腕刑事・雪平夏見の活躍を描く人気作だが、いよいよ劇場版3作目にして完結編となる最新作『アンフェア the end』が9月5日に公開される。最終章を迎えた篠原涼子と、本作でキーマンを演じる永山絢斗にインタビューし、気になる撮影秘話やエピソードを語ってもらった。
篠原演じる雪平は、警視庁検挙率ナンバー1の刑事だ。本作では、ずっと追っていた父の死の真相が遂に明らかにされるなか、警察や国家を裏で操る闇の組織との最後の戦いに臨む。永山は、雪平をある事件で呼び寄せ、共に行動していくシステムエンジニア・津島直紀役を演じた。
毎回、雪平の相棒役が口にする「無駄に美人ですね」というセリフは、今回永山が放つ。篠原は「ありがたい言葉ですよね。そんなふうに言われて嫌な女の人はいないと思います。また、ハンサムな方に言われるのだから、普通の人だったらクラッとしちゃうかもしれない。雪平はちょっと格好つけて言い返しますが、言われる方としてはぐっと来ます」と照れながら言う。
永山は「あのセリフをどこで言おうかと、現場でいろいろと話しました。2、3カ所撮りましたが、その結果、車のなかで言ったものが使われていました。それを言えたことはもちろん、篠原さんから『バカか、お前は』を聞けたので、僕はそっちの方がうれしかったです」と笑顔を見せる。篠原は「私はこれまで何回も言っているので、『もう、いいよ、言わなくたって』と、思っちゃうんですけどね」と苦笑い。
本作では、冒頭から、一糸まとわぬ雪平のシャワーシーンが登場し、その後の展開への期待感をあおる。それは、台本にはなく、篠原が提案したものだったと言う。「雪平夏見は、毎回どこかで裸になったりと、お色気的なものがあったのですが、今回は全く濡れ場がないということに後半で気づいて。それで、何かないかなと思って監督(佐藤嗣麻子)に相談したんです。それで、考えていただいたのがあのような形のシーンになりました」。
篠原は撮影をこう振り返る。「監督が『正直どうやって撮ろうかと迷っている』と言われていたので、当日見てもらってアングルを決めました。ぶっつけ本番みたいな雰囲気で、緊張はしましたが、『アンフェア』という作品は、佐藤嗣麻子の世界観なので、そこはもうおまかせしました」。
もちろん、それは10年間、『アンフェア』の座長を務めてきた篠原の熱い思いに裏打ちされたものだ。「ドラマでも裸からのスタートだったので、裸で締めるということで。他の作品だったら、正直、自信がなくて裸にはなれなかったと思いますが、『アンフェア』の現場なら、佐藤嗣麻子さんもいるし、カメラマンの佐光朗さんたち信頼できるスタッフもいてくださる。ここで、やらせていただけるのなら、抵抗感なくできるかなと思いました」。
完結編ということで、いろんな謎が明らかにされていくが、篠原のなかである種の決着はついたようだ。「10年間『アンフェア』は、ずっと続きがあるような終わり方をしてきましたし、だから長続きできたとも思えます。今回の台本を読んだ時、もっと探ってみたいところはもちろんありましたが、こういうやり方じゃないと、完結には結びつきにはならないのかなとも思いました。私は、納得のいく終わり方じゃないかなと思っています」。
『アンフェア』シリーズの大ファンで、本作で初参加した永山の胸中も複雑だ。「映画を観た時、すべて解決してしまっていく感じや、観ていて、ああ、もうこれで終わっちゃうのか、もう雪平に会えないのかという寂しさと、映画自体の楽しさと両方を感じました。終わった時の感じが今までとは違うと思ったのですが、『アンフェア』ですからね。終わらないでほしいです」。
そう、これまでとは違い、『アンフェア the end』と、タイトルでも最終章だと名言している本作。10年目に行き着いた着地点を、ファンはどう受け止めるのか。是非、劇場で確認していただきたい。【取材・文/山崎伸子】