松坂桃李&峯田和伸&田口トモロヲに聞く!男女の恋愛観に違いはある?

インタビュー

松坂桃李&峯田和伸&田口トモロヲに聞く!男女の恋愛観に違いはある?

多部未華子と綾野剛が共演を果たした恋愛映画『ピース オブ ケイク』が9月5日(土)より公開となる。イチャイチャするひと時はどうしようもなく楽しくて仕方がないが、その一方で彼氏の嘘に翻弄されたり、元カノの存在にヤキモキしたり。誰にでも思い当たりそうな主人公・志乃のリアルな恋を、多部が体現している。そこで、田口トモロヲ監督、出演の松坂桃李、峯田和伸に集まってもらい、本作で描かれる恋愛観について語り合ってもらった。

原作はジョージ朝倉による同名コミック。『アイデン&ティティ』(03)『色即ぜねれいしょん』(09)と、これまでにほろ苦い男子の青春を描いてきた田口監督がメガホンをとる。田口監督は「男、女という枠をはずせば、みんな感情は一緒なんだと思ったんです」とコメント。「20代の面倒くさい自意識や、こんがらがっちゃって『うざいな!』という気持ちは、性別関係なく普遍的なものなんだなという発見がありました。自分の撮ってきた作品にもつながっていることで、それは自分でも発見でしたね」と、20代の“もがき”は、男女共に変わらないものだと気付いたという。「失敗を繰り返しながら、へこんだりまたそこから立ち上がったり。そしてその周りには友達がいて。それって、極めて一般的なことだと思えたんです」

志乃が衣装を担当する劇団「めばち娘」の座長・千葉役を演じた峯田も、「僕の周りでも、この原作を好きな人がたくさんいて。熱烈な信者を生む作品だと思うんです。濃度が濃くて、人をつかんで離さないものがある。それは、女性が描いた漫画ですけれど、作品に込められた魂が男女問わず同じことだからだと思うんです」と原作の魅力について言及。「主人公も女性ですけれど、自分の中の女性性もわかったような気がしたし、もがいたりするのは男も女も同じだと思った」と、一皮むけばやはり、恋の悩みは男女同じものだと話す。

志乃の親友のオカマの天ちゃんを演じたのが、松坂だ。松坂も「女性漫画って、僕の中では距離感があるようなイメージがあったんですが、原作や出来上がった作品を見てみると、全く距離感を感じなかった」と語る。「僕は姉と妹がいるんですが、『ああ、僕の姉貴とか妹もこんな感じだな』と思って。たぶんうちの姉貴なんかは、京志郎(綾野剛)みたいなタイプを好きだろうなとか思っちゃう。『身近にこういう人、いるわ』という登場人物があふれている」

クライマックスでは、峯田が作曲・歌唱を担当した劇中歌「風よ吹け」が、激情に駆られる志乃の恋心を見事に表現する。田口監督は「峯田くんとは前の作品でもご一緒していて、それから時間が経っているにもかかわらず、純度の高い心をそのままキープオンしている。ホッとします」と峯田への絶大なる信頼感を吐露。「最後に志乃を後押しする歌を歌えるのは、峯田くんしかいないと思った」とオファーについても、迷いはなかったそう。

曲のイメージは「ニール・ヤングに三上寛を混ぜた感じ」と峯田に発注したとか。「稚拙な、あまりやってはよからぬ発注の仕方なんですが、峯田くんならわかってくれるだろうと(笑)。そうしたら峯田くんの返事が、『ニール・ヤングは前期ですか、後期ですか?』って。さすがだなと思いました。失礼かなとおもう発注にも、真摯に答えてくれて。そこにもまたグッときちゃったんです」

峯田の歌唱シーンをそばで見ていたという松坂は、「すっごい色気があるなと思いながら見ていたんです。天ちゃんを演じているときだったからかもしれないですけど、ちょっと惚れそうでした」と述懐。峯田は「僕もそのときのことをはっきりと覚えていて。休憩中も桃李くんがずっと隣にいてくれたのを覚えています。すごく心強くて、うれしかったですね。ちょっと喉の調子が悪いときもあったんですが、あのシーンはトモロヲ監督やスタッフの人、みんなから力を分けてもらった感じがしています」と、周囲の支えがあってこそ出来上がった、渾身のシーンだという。

「どこもかしこも思い入れがある」と愛情たっぷりに語る田口監督だが、特に好きなシーンとして挙げるのも、恋の情熱と勢いがこめられたクライマックスのシーンだ。男女変わらぬ、恋の痛みやおかしみ。そしてキュンキュンするほどの輝きを、ぜひスクリーンで堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】

作品情報へ

関連作品