佐藤健&神木隆之介が“童貞らしさ”で勝負した『バクマン。』
サイコー&シュージンの高校生漫画家コンビが、「週刊少年ジャンプ」の“頂点”をめざす『バクマン。』(公開中)。2人を演じた佐藤健&神木隆之介が、映画に対する手応えや撮影時のエピソードを楽しげに語り合った。
──王道の青春映画にして職業モノという、いろいろな側面を持った作品になりましたね。
神木「手前味噌になってしまいますけど“新しい映画になった”と思います。サイコーとシュージンがライバルのエイジ(染谷将太)と大きなペンを持って戦うアクションシーンは、自分たちが演じているにもかかわらず、すごく新鮮な表現の仕方だなと感じました」
佐藤「お話をいただいた時から『今までにない、新しい映画をつくろう』という次元を目指していましたけど、それを実現できたと思います」
──大根仁監督とのクリエーションも大きかったと思いますが、現場はいかがでしたか?
神木「衣装合わせの時、『とにかく童貞っぽさを常に意識してね』って何度も言っていたことが、すごく印象に残っていて(笑)」
佐藤「ひたすら言われたもんね。『君たちが童貞に見えるかどうかが、この映画の勝負の分かれ目だから』って(笑)。現場では言葉にしなかったけど、たぶん芝居自体も、そこが大根さんの基準になっていたと思う」
神木「それ絶対あるよね!」
──現場で原作を読み返して参考にしたといったことはありました?
佐藤「シーンによっては、ですね。漫画本がたくさんあった現場なので、当然ながら原作も置いてあって。“ここ、原作ではどんな感じだったかな”って気になると読み返していました」
神木「僕は自分の台本に、シーンに該当するコマのコピーを貼っていました。撮影に入る前から原作本をコピーして、自分で糊づけしてペタペタと。原作ではコミカルな表情をしているから、このシーンは笑いの方向にも振れるんだな、と自分なりに解釈を加えたりもして……」
佐藤「その台本を見て“リュウは本当にマメだなぁ”って思ったよ。俺、わざわざコピーして切って貼ったりしないもん(笑)」
神木「徹夜して貼りましたけど、何か?(笑)」
──(笑)。なお、サイコーとシュージンは読者からのアンケートというカタチで自分たちの漫画に対する反応を知ることができますが、2人の場合は?
佐藤「たとえば、こういった取材で、本当に面白かった作品だと何となくインタビュアーさんの反応が違うんですよ。そういう温度差って結構、僕たちも感じとっていて“あ、今回は伝わったな”って。『バクマン。』がまさにそうで、みなさん、すごく熱い感想を寄せてくださるので、結構早い段階から手応えを感じることができました」
神木「僕は映画館に観に行って、お客さんの反応や様子をうかがうこともあります。『桐島、部活やめるってよ』(12)の時、キャストの人たちと一緒に観に行ったんですけど、“あ、みんな、ここで笑うんだ!?”といった感じで、思いもよらない反応があって新鮮でした。ということで、『バクマン。』も密かに観に行こうと思っています(笑)」【取材・文/平田真人】