セミナーで満員御礼!?Netflix、Huluら出席のプレゼンが白熱

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セミナーで満員御礼!?Netflix、Huluら出席のプレゼンが白熱

第28回東京国際映画祭の開幕に先駆け、併設するコンテンツマーケット「Japan Content Showcase 2015」が10月20日よりスタート。来場するビジネスパーソンに向けた様々なセミナーが催される中、業界から高い注目を集めたのが、「見えてきた動画配信マーケットの近未来」と題したセミナーだ。

登壇者として、9月よりサービスを開始したNetflixをはじめ、名だたるVODサービスが一堂に会するとあって、予約の時点で満員御礼!通常は「Japan Content Showcase 2015」の会場(ホテル グランパシフィック LE DAIBA)内のセミナールームで行われる予定が、シネマメディアージュのシアター1(608席)に会場を移し、かつセミナールームでも同時中継が行われるほどの盛況ぶりとなった。

【写真を見る】VODビジネスにおける“トップランナー”5社が集結!
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セミナーは登壇者を入れ替え、2部構成で進行。Netflix Japan副社長であるデイビッド・リーが登壇した第1部では、「日本コンテンツの市場」が主な論点に。まず、「極めて保守的かつ現実的な日本市場でスタートして2か月……現状には非常に満足しています」と口火を切ったデイビッド・リー氏。

日本展開にあたり、「テラスハウス」新シーズン「TERRACE HOUSE BOYS & GIRLS IN THE CITY」を手掛けるなど、フジテレビとのパートナーシップでも注目された同社だが、これらは流行に敏感な“アーリーアダプター(Early Adopters)”に響くコンテンツだったから…と説明。

またつい先日、主要キャストが発表された吉本興業との共同制作ドラマ「火花」(又吉直樹原作)についても触れ、日本ドラマのグローバル展開についても、その可能性を示唆。最後に「世界中と繋がる可能性がこの先広がっていくと思う。ぜひそうしたグローバルな視点で、野心的に作品を製作してほしい」と締めくくった。

デイビッド・リー氏に質問するのは、ジャーナリストの西田宗千佳氏
デイビッド・リー氏に質問するのは、ジャーナリストの西田宗千佳氏

続く第2部では、VODビジネスにおける“トップランナー”というべき5社、Amazon、Hulu、dTV、GYAO!、ボノボの代表者が登壇。マルチデバイス対応など共通項なども多いが、取り扱うコンテンツ数やジャンルなど、そのサービスの特徴は各社さまざま。セミナーでは、自社サービスについて各社が約5分ずつプレゼンテーションを行った。

その後は、VODに造詣の深いジャーナリスト、西田宗千佳氏をモデレーターにディスカッション形式で進行。ターゲットのデータ解析やコンテンツ調達など、ビジネス中心の議論が展開される中、「日本人の特性として、(数多ある番組数の中から自分が好きな番組を)選ぶのが極端に下手なんですよ!」と、Huluの船越雅史氏が、実に明快な口調で発言。「200チャンネル以上あるアメリカと比べると、明らかに(番組選びが)日本人は下手ですね。なのに、押しつけがましさを極端に嫌う。レンタル店や書店のレコメンドコーナーって見向きもしないでしょう?それよりは平積みに置かれたPOPのほうがはるかに影響力がある。レコメンドエンジンを使っている身で言うことではないかもしれませんが(笑)、アナログ的な薦め方が今後のカギになってくると思います」

こうした発言に対し、ヤフー株式会社を親会社に持つインターネット事業者の側面から、GYAO!の宮本直人氏も同調。「日本はソーシャルメディアが強い市場なので、特にSNSのレコメンドは有効ですね。我々のトラフィック解析でも、そうしたSNS経由での流入は非常に多い」とコメント。各社とも、ユーザーに対し、コンテンツを継続的にアピールし、飽きさせない工夫を今後の課題に挙げていたのが印象的だった。

また、会場内が最も沸いたのも、終盤に発言したHuluの船越氏の言葉。「AmazonやNetflixがローンチしたおかげで、最近よくこうした場に呼ばれるんです。Amazonさんのサービスは“動画をタダで見る”感覚に近いのでちょっと懸念してるんです。かといって、コンテンツホルダーに巨額の製作資金を落せばそれで済む…というわけでもない。私は常々、動画配信事業は、健全な成長が一番大事だと思っているんです」と、若干のリップサービス(?)なのか、Amazonのプライム会員向けの新サービス「プライム・ビデオ」についてチクリ。

突然、矛先を向けられたAmazonのジェームズ・ファレル氏は…、依然として笑顔のまま。2人に関わらず、各社ともパネラー同士、面識がある様子で気軽に意見交換がなされているような雰囲気が窺えた。

そして最後に、「毎日何らかの映像を見る熱心なファンもいれば、年間数本見るか見ないかの人もいる。平均化ができていないんです。映像コンテンツの市場はまだまだこれから発展途上」とセミナーを締めくくった西田氏。“動画配信元年”と言われた2014年から1年。いよいよ質量ともに競争が激化してきたVODサービスだが、今後どのような展開を見せていくのか?ユーザー視点で見れば、その期待感が募る内容だったと言えるだろう。

なお、「Japan Content Showcase 2015」は10月22日(木)まで開催中。出展団体数は24の国と地域より343(2014年は332)と過去最高を更新するなど活況を見せている。【取材・文/トライワークス】

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