ジャコウウシ、オオヤマネコを撮影する苦労とは?巨匠が明かす

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ジャコウウシ、オオヤマネコを撮影する苦労とは?巨匠が明かす

第28回東京国際映画祭特別招待作品『シーズンズ 2万年の地球旅行』(2016年1月15日公開)の舞台挨拶が10月23日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、ジャック・クルーゾ監督が登壇。『オーシャンズ』(09)、『WATARIDORI』(01)を手掛けたネイチャードキュメンタリーの巨匠であるクルーゾ監督が「私にとって未知の世界。いつか日本の野生の世界の美しさを撮影してみたい」とうれしい言葉で会場をわかせた。

本作は、ジャック・ペラン&ジャック・クルーゾ監督が2万年にわたる人類と自然の歩みを描く壮大なネイチャー・ドキュメンタリー。クルーゾ監督は「空を飛ぶ鳥を撮影し、海の魚たちを撮影し、次には地上の動物だと思ったけれどそれだけでは映画にするには不十分だと思った」と述懐。「1年間考えて、森の住人たちの生きてきた歴史を時空を超えて、しかも彼らの目線で描きたいと思った。そのことはものすごい僕たちのモチベーションになったんだ」と人類の視点ではなく、動物の視点で自然の歴史を語ることが重要だったという。

「いつでも私たちが挑戦することは同じ。いかに動物たちの素早い動きに寄り添うかだ」とクルーゾ監督。本作にも様々な動物たちが登場するが、なかでもお気に入りは「オオヤマネコ」だとか。「子どもの頃から少しずつ成長する姿を捉えた。彼らはとても表情豊かで素晴らしい役者だったよ」とにっこり。原始的な風貌をしたジャコウウシも捉えており、「ノルウェーの極北まで行ったよ。雪の中、凍るような環境の中で彼らを映像に収めることが大切だった。そういった動物を捉えるには、タイミングを待つことが重要なんだ。チャンスや運もあるね」と撮影の苦労を明かしていた。

最後には「困難な時期があったにも関わらず、まだ野生の世界は地球上に残っている。決して絶滅してはいない。未来の世代、子ども達にまだ残っている野生の世界を、新たな眼差しを持ってみてほしいというメッセージを込めた」とコメント。自然と動物に真摯に寄り添い続けるクルーゾ監督の姿に、会場からも温かな拍手が送られていた。【取材・文/成田おり枝】

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