H・ジャックマンを直撃!ハッピーオーラを放つ秘訣とは?
「本当にものすごいナイスガイだった!」。ハリウッド俳優ヒュー・ジャックマンに会った人は、感激の面持ちでこう口をそろえる。イベントでのサービス精神旺盛なファン対応もしかり。ヒューの人柄に触れた誰もが、その温かくハッピーなオーラの虜になってしまうのだ。そんな彼が「ものすごい楽しかったよ!」と嬉々として悪役を演じているのが、『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜』(10月31日公開)。来日したヒューを直撃し、周囲を包み込むようなハッピーオーラの秘密。悪役を演じた感想を聞いた。
ひとりの少年がピーターパンになるまでの成長物語を、壮大なスケールと圧倒的な映像美で描く本作。ピーターの冒険に魅了されるとともに、「自分の可能性を信じること」「助け合うことの大切さ」などポジティブなメッセージを伝えてくれる。ヒュー自身からもとてもポジティブな雰囲気を感じるが、ヒューは「僕だってもちろん、24時間いつだってポジティブなわけじゃないよ」とにっこり。
「だけれども、本当に一番いいことは自分の好きな仕事ができることなんだ。自分の好きなことを仕事にできれば、ポジティブになれると思う。僕はこれだけ好きなことができて、自分がいかにラッキーかを忘れないように常に言い聞かせている。こうして世界中を旅できて、いいスタッフに囲まれて仕事ができて、本当にラッキーだと思い起こすこと。これが大事だね」と自分の今ある立場に感謝することが、日々を楽しむ秘訣だという。
また、モットーとしていることは「今を生きること」だと明かす。「人はどうしても未来を考えたり、過去のことを思い悩んだりしてしまうよね。それはあまりよくないこと。今を大切に生きることが大事だ。そのために僕は、シンプルなことを楽しむんだよ。寝ること、食べること、家族と一緒に過ごすこと。そうやってシンプルなことに価値を見つけることが肝心なんだ」。瞳を輝かせながら、熱く語るヒュー。「今」を生きているからこそ、一つ一つの出会いを濃密なものにしようとしているように感じた。
本作では、ネバーランドを支配する冷酷極まる悪役・黒ひげ役に扮した。「これほど悪いヤツを演じるのは初めてじゃないかな」というほどの役柄だが、劇中では楽しんで演じていることが存分に伝わってくるような、強烈な存在感を見せつけている。「この映画は、11歳の子どもの目から見たお話なんだ。子どもって何を見てもアドベンチャーでマジカルに見えるだろう?そこに黒ひげという悪人がいるわけだ。子どもにとって大人って怖いものだけれど、大人の何が怖いかというと、一瞬、いい人だなと思っても急に怖い人になったりと、予測できないところが子どもは怖くて、不安になるわけで。そういった怖さを出したいと思ったよ。そして、怖いものであると同時に、ちょっとバカだなぁと感じるときもあるよね。黒ひげはその両方を持っているキャラクターなんだ」
最もお気に入りのシーンは「やっぱり、ピーターと対峙するシーンだね」と告白。ピーター役は、ヒューと同じくオーストラリア出身の少年リーヴァイ・ミラーが演じており、ヒューは「彼は本当にすごいよ!オーストラリア出身とあって、すごく誇らしいよ」とリーヴァイを絶賛する。
「とても礼儀正しくて、人に敬意を持っていてる少年だ。オーストラリアの子だけれど、日本の子のように礼儀正しいよ(笑)。彼はカメラの前でまったく緊張しないんだ。僕は、演技というのは、自然に見えることが一番いい演技だと思っていて。練習をしてリハーサルをしても、本番ではさも簡単にやっているように見せなければいけない。演技することは簡単だと思っている人もいるかもしれないが、300人くらいが見物している現場でそれをやることはやっぱりとても緊張することなんだ。リーヴァイはそれも平気で、とにかく楽しんで演じていたね。映画を観た誰もが彼を好きになるはずだよ」
「これまで12回、日本に来ているけれど本当に大好きな国なんだ」と短いインタビュー時間の間にも愛情たっぷりに語ってくれたヒュー。知性とユーモア、優しさにあふれた佇まいでこの日も周囲を魅了していた。ぜひ彼の悪役っぷりを本作で堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】