秋吉久美子、『の・ようなもの』のソープ嬢役は「口説かれてないです」
故・森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』(81)の35年後を描く『の・ようなもの のようなもの』の公開を記念し、森田監督作『の・ようなもの』が、1月23日から角川シネマにて1週間限定で再上映される。初日となる本日、同劇場で、秋吉久美子と伊藤克信、『の・ようなもの のようなもの』の杉山泰一監督が、35 年ぶりに映画撮影時のエピソードと新作の魅力を語った。秋吉は、今回の上映について「森田に代わって、光栄に思います」とお礼を述べた。
『の・ようなもの』で伊藤克信は、古典落語の修業に励む二ツ目の落語家役で、秋吉は、風俗嬢エリザベス役を演じた。秋吉は、森田監督と杉山監督、伊藤をこう評価した。
「森田さんと杉山さん、合わせてコッポラ。『ゴッドファーザー』の1と2です。伊藤くんは、森田さんの書いた本のアル・パチーノみたい。伊藤くんは、スターにはなってないけど、それくらい魂や人生を映画に吸い取られた男。いま観たら、伊藤くん、実はめちゃくちゃ上手かった」。
伊藤は、35年前を振り返り「あの頃、秋吉さんは大スターで、どうしていいか戸惑いがあったんです。当時のマネージャーが怖かったし」と苦笑い。
また、『の・ようなもの』で当時、森田監督の助監督を務めていた杉山監督は「森田さんから、ソープ嬢の役を何て口説かれたの?」と秋吉に質問する。秋吉は「くどかれてないです。本を見て、面白いと思いました。時代的にロックの時代、70年代の申し子なので。ソープ嬢をああいうふうに描く作品はいままでなかったし、ソープ嬢と落語家さんのシーンにも青春の輝きとなっている。革命的だった」。
秋吉は続けて、「もったいないことをした。森田さんがあんなに天才だったら、もっと上手く扱えば良かったなと。伊藤さんが上手いことも、森さんが天才だったことも、わからなかった」と悔しがり、笑いを取った。【取材・文/山崎伸子】