野村周平と中条あやみが語る『ライチ☆光クラブ』の過酷な現場

インタビュー

野村周平と中条あやみが語る『ライチ☆光クラブ』の過酷な現場

古屋兎丸の同名コミックを映画化した『ライチ☆光クラブ』(2月13日公開)で、主演を務めた野村周平とヒロイン役の中条あやみにインタビュー。元々、カルト的な人気を誇った演劇を基にした原作だが、映画でもかなり攻めている!野村と中条が、過酷を極めたという現場を振り返った。

光クラブとは、廃工場に集う9人の中学生による秘密クラブのこと。強いカリスマ性と天才的頭脳を持つゼラ(古川雄輝)が、タミヤ(野村周平)ら8人 の少年たちを従えている。彼らは醜い大人を否定し、自分たちだけの世界を作ろうと、巨大なロボット・ライチを開発する。中条はそのロボットと恋に落ちる美少女・カノン役を演じた。メガホンをとったのは、『先生を流産させる会』(11)で話題を呼んだ内藤瑛亮監督だ。

ロケ現場では、原作のアンダーグラウンドな世界観が見事に再現されていたという2人。野村は「セットの作りこみは半端なかったです。ロボットの完成度もすごく高くて、見ただけでテンションが上がりました。撮影内容も、撮影している場所も、気温も、泊まっている場所も、ある意味、全部すごかったです」とうなる。

中条は、極寒のなか、水浸しになるシーンにもトライした。「あそこは1テークで撮らないといけなくて。ジャポンと水に入った後、ライチに運ばれるんですが、ずっとワイヤーにつるされたままでした」。野村が「あれ?お湯じゃなかったの?」と聞くと、中条は「いや、湯気がたったらダメだということで」と苦笑い。

中条が「ほとんど順撮りだったから、順番に1人ずつ死んでいって、その度にクランクアップでしたね」と言うと、野村は「そうそう。僕らは『じゃあね!』と送り出していました。死んだら東京へ帰れるから、僕も『早く殺してくれ!』と思っていました」といたずらっぽく笑う。

9人の青年を演じたのは、野村、古川雄輝、間宮祥太朗、池田純矢、松田凌、戸塚純貴、柾木玲弥、藤原季節、岡山天音だ。最初の頃の撮影では、野村たち俳優陣しかいなかったから、美しさを追求する少年・雷蔵役の松田がちやほやされていたそうだ。「みんなが『本当に、凌はきれいだね』と言って騒ぎまくっていて。でも、中条ちゃんが来たら急に態度を変えたんです。みんながいきなり格好つけるんですよ」。

中条が「みんなクールだなあと思いました。でも、みなさんのボーイズトークを聞いていると、男の子って良いなあとも思いました」と言う。

今回、光クラブに君臨するゼラ役で、悪役に初挑戦した古川。野村は「撮影期間、古川くんとはほとんどしゃべらなかったです。現場でもゼラでした」と感心する。「僕たちが『お酒、飲みますけど、いっしょに飲みますか?』と誘っても『いや、僕はお酒飲んじゃうと次の日のパフォーマンスが落ちちゃうので』と言われ。莫大なセリフの量でしたから。古川くんはプロだという感じがしました。ゼラを徹底して演じていた気がします」。

中条も古川は「アーティストみたいな感じでした」と印象を語る。「年もいちばん上だから、貫禄がありました。ゼラがカノンに触ろうとするシーンで、私は撮っている間、目をつむっていたのですが、終わった後、スタッフさんが笑っていたんです。後から映像を観たら台本にはない演技をされていて。そういうアドリブもされるんだ!と思って。本当にプロだなと思いました」。

作品自体も個々の演技も、かなりチャレンジングな1作となったが、2人はどんな手応えを感じているのか。今年の目標も含めて聞いてみた。中条は「ロボットと恋に落ちるという不可能そうなことも、役だとできちゃうんだなと。改めて、演技ならどんなこともできるんだなと思いました。今年は10代最後の年なので、がむしゃらという言葉がぐっと来るくらい、もがくくらいいろんなことをして吸収しておきたいです」と力強く語った。

野村は「この作品に次世代を担う若い俳優たちと出られたことがうれしかったです。こんな革命的な映画は、最近あんまり見ないですし。また、今年は、中国などアジアに海外進出をしたいです」 と頼もしい目標を掲げた。

野村や古川という主演を張れる人気スターを筆頭に、映画界で台頭してきた若手俳優陣の存在感が光る『ライチ☆光クラブ』。そのなかに咲く一輪の花ともいうべき中条あやみの崇高な美しさも白眉だ。内藤監督も含め、若き感性によりつむがれエネルギッシュな1作を是非、体感してみてほしい。【取材・文/山崎伸子】

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