坂本龍一からのメッセージも!『レヴェナント~』がゆうばりで日本最速上映
2月25日より開催されている「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」で28日、クロージング作品として『レヴェナント:蘇りし者』(4月22日公開)が上映。上映前に20世紀フォックス映画日本代表のジェシー・リー氏と鈴木直道夕張市長が登壇した。
本作はレオナルド・ディカプリオ主演、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督による実話をもとにした壮絶な人間ドラマ。本年度アカデミー賞で最多12部門にノミネートを果たしている話題作、しかもアカデミー賞授賞式の前日(日本時間)とだけあって、上映前から長蛇の列ができる盛況ぶりになった。
20世紀フォックス映画の配給作品は、今回の『レヴェナント:蘇りし者』をはじめ、同じくゆうばりで上映された『ブルックリン』、ほか『オデッセイ』『ブリッジ・オブ・スパイ』といったタイトルがアカデミー賞にノミネートされており、合計するとその数なんと29部門にのぼる。
挨拶をしたジェシー代表は「本音は全部受賞してもらいたいんですが…」としつつ、「もちろんオスカーをとるのも重要なんですが、このように皆さんに映画をご覧になっていただいて、楽しんでいただくのが重要なので、あまりこだわらないつもりです」と、映画祭での上映の重要性を語った。
その後、鈴木直道市長と夕張メロン熊が登場し、「この『レヴェナント』は熊が重要な存在なので」とジェシー代表に感謝の気持ちを込めて“夕張メロン熊”のぬいぐるみをプレゼント。ゆうばりらしいゆるい風景に、客席から大きな笑い声が上がった。
ジェシー代表は映画と夕張との共通点として「夕張のように雄大な大自然、また、困難を乗り越え再生に向けてがんばる夕張のみなさんのような、希望も描かれています」とコメント。さらに「主演のレオナルド・ディカプリオ演じるヒュー・グラスは、鈴木市長を思わせますね。市長が以前ご自身のことを『無理だと言われると火が付く』とおっしゃっていましたが、これはヒュー・グラスとも重なりますし、不可能でも最後までがんばることの大切さは、この映画のメッセージです」と熱く語ると、自然に拍手が起きた。
鈴木市長は、「この映画では、不可能だ困難だと言われながらも目標を実現しようという力強い姿が描かれています。夕張の再生に向かって我々にとって、まさにゆうばり映画祭のクロージング招待作品として上映するのにふさわしい一作を提供いただいたと思っています」と嬉しそうに答えた。
最後に坂本龍一が手がけた音楽について、ジェシー代表は「音楽だけでも1時間くらい語れると思うんですが(笑)」としつつ「ディカプリオの演技はもちろん、音楽の使い方がすごくいいんです。ディカプリオが大自然の中で1人になり、もう諦めようかなという時に坂本龍一さんの弦楽器を使った音楽が流れ、勇気をもらえるんです。また、映画にはアクションもあるのですが、そのシーンでは打楽器を使っていて、対決がもっとリアルに“聴こえる”んです」と解説。
そして本編上映前には、坂本龍一から「極寒のゆうばりの雪景色の中で、この冷たくて、荒々しい映画をぜひ楽しんでください」というスペシャルビデオメッセージも流され、詰めかけた観客たちは興奮に包まれながら、鑑賞に没頭した。【取材・文/Movie Walker】