レオ、悲願のオスカー受賞作の撮影は苦行だった!
第88回アカデミー賞授賞式で、5度目のノミネートにして、悲願の主演男優賞の栄誉に輝いた『レヴェナント:蘇えりし者』(4月22日公開)のレオナルド・ディカプリオ。そんな本作の撮影は、かなり過酷を極めたものだった。その激しすぎる内容に驚嘆!
レオは、『ギルバート・グレイプ』(93)で19歳にしてアカデミー助演男優賞に初ノミネートされて以来、これまで、『アビエイター』(04)、『ブラッド・ダイヤモンド』(06)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)、『レヴェナント:蘇えりし者』という4本の主演映画で主演男優賞にノミネートされており、受賞は5度目の正直となった。でも、その撮影には、ただならぬ苦労があったようだ。
『レヴェナント』とは、「黄泉の国から戻った者」という意味。熊に襲撃され、過酷な自然にさらされながらも生き延びたハンター、ヒュー・グラスの実話を映画化したというからびっくり。
9カ月にも及んだ撮影は、劣悪といえる環境のなかで敢行された。レオは、真冬のマイナス5度の雪深い原野で裸になり、さらに極寒の川に飛び込むという苦行のようなシーンにトライ。また、あるシーンの撮影では、ブリザードのため、マイナス27度まで気温が下がったようで、クルーたちは、凍傷すれすれ状態だったという。
また、熊に襲われ、瀕死状態のグラス(レオナルド・ディカプリオ)を置き去りにするジョン・フィッツジェラルド役のトム・ハーディの存在感も白眉!彼とレオとの格闘シーンでは、レオが鼻を骨折するというアクシデントまで発生。だって、相手は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)の肉体派俳優だもの。手加減なしでのガチなアクションとくれば、ケガの1つや2つはするだろうが、鼻が折れ、なおかつそのまま撮影を続行したというレオのド根性ぶりはすごい。
アクションシーン以外でも、レオが演じるグラスのサバイバル能力にうなる豪快なシーンが満載だ。レオは、木の根を食らうだけでなく、捕まえた魚を生きたまま頬張ったり、生肉に食らいついたり、死んだ馬の肉を裂き、その体内に入って眠るという壮絶なシーンにも挑んでいて、思わず絶句!
そんなレオたちのふんばりを、生き生きと活写するエマニュエル・ルベツキの縦横無尽なカメラワークも素晴らしい!なんというか、本作は、すべてが規格外なのだ。
同作では、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が、昨年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』と本作で監督賞を2連覇、エマニュエル・ルベツキが、『ゼロ・グラビティ』(13)と同2作で撮影賞を3連覇するという快挙も果たした。まさに、大スクリーンで観るに値する驚異の1作に仕上がったので、是非、劇場で鑑賞したい。【取材・文/山崎伸子】