71年前の今日、19歳のエリザベス女王が秘密の外出をしていた?
さかのぼること今から71年前、1945年の5月8日は、第二次世界大戦で連合国軍がドイツに降伏文書調印をさせた「ヨーロッパ戦勝記念日」だ。この日、英国ロンドンのバッキンガム宮殿では勝利宣言が盛大に行われ、バルコニーには時の首相チャーチル、ジョージ6世とエリザベス王妃、軍服を着たエリザベス王女とマーガレット王女が登場した。先日90歳の誕生日を迎えたエリザベス女王は、当時まだ19歳の王女。彼女がこの日、お忍びでロンドンの街に繰り出し、一夜を過ごしていたということをご存知だろうか?
ヨーロッパで長く続いた戦争の終わりを知らせる日となった1945年5月8日。100万人以上もの民衆がバッキンガム宮殿前に集まり、6年間の戦争の終結と英国の勝利を祝ってお祭り騒ぎをした。長年にわたる戦争の苦しみからの解放に、王室、国民を挙げて国中が喜んだのだ。エリザベスの父で、映画『英国王のスピーチ』(10)でも描かれた当時の国王ジョージ6世は、「苦しみは自分だけではない」ということを知っており、何度もバルコニーに出て民衆の歓呼の声に応えたという。そしてその夜、「国民たちと戦争終結の喜びを分かち合いたい」と、未来の女王であるエリザベス王女と妹のマーガレット王女は、父ジョージ6世に特別に許しを得て、民衆の中に入って国民とともに勝利を祝うことになったという。
まさにリアル『ローマの休日』(53)とも言えるこの“秘密の外出”の実話を描いたのが、映画『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(6月4日公開)だ。エリザベス女王は、国民とともに「戦勝記念日」を祝ったことで「君主」の存在がどれだけ国民の心を左右するのかを実感したといい、戦後「これからは平等な社会を」と、イギリス国民とともに復興と繁栄を目指し進んできた。バッキンガム宮殿の一部を一般公開に踏み切り、性別にかかわらず長子が王位を継承する制度なども整えるなど、「開かれた王室」を目指したさまざまな改革を行っている。英国王室公式ツイッター(twitter.com/RoyalFamily)で、女王自らつぶやいて情報発信をしているのも有名だろう。
果たしてこの「戦勝記念日」に、エリザベスは何を見、何を体感したのか?英国民の母たる女王として、英国王室最長在位記録を塗り替え、先日はジョージ王子ら4世代の記念切手も発売されるなど、まさに英国王室の顔といえる存在である彼女が、熱狂的に支持され愛され続ける秘密は、本作を見ればきっとわかるはずだ。【Movie Walker】