神木隆之介が語る声優業への“激アツ”な想い
99年に俳優デビューし、第一線で活躍し続けている神木隆之介。スタジオジブリ作品や、細田守監督の『サマーウォーズ』(09)など、アニメーション作品への声の出演でも高い評価を得てきた神木に声の出演への想いを聞いた。
実写とアニメーションとでの演技の違いについて「『千と千尋の神隠し』(01)の頃は小学生だったのであまり何も考えていませんでしたが(笑)、アニメーション作品は完全に自分と違うキャラクターになれるところが面白いと感じています」という神木。「アニメ好きの僕としては憧れの世界に入るのは嬉しい」と話すが、その困難さがわかるからこそ「毎回難しいと痛感する」のだという。
そんな神木が、高校生の男女の青春をファンタジックに描いた『君の名は。』(8月26日公開)で声の出演としての実力を発揮。田舎町に住む女子高生・三葉(上白石萌音)と夢の中で入れ替わる、東京の男子高校生・瀧という役どころだ。
「瀧の体に三葉が入っている時は声を高めにしましたが、瀧の声帯で出せる、違和感がない範囲の高さで演じました。大げさ過ぎても、変わらなさ過ぎてもダメ。そのリアリティはかなり意識しました」と語る通り、劇中での“入れ替わり”具合は絶妙だ。「可愛いと感じる声、目をつぶって聞いていて気持ちいい声があると思っているので、瀧の中に入っている三葉が可愛らしく見えるように、僕の理想の“カワイイ”を表現しています」と神木。女性らしい話し方、声の出し方にかなりのこだわりがあったようだ。
また神木は、本作の監督・新海誠のファンを公言しており、過去作のセリフを暗唱してしまうほどの思い入れの強さだ。新海作品への探究心も並ではない。「アニメーションのセリフは普通オーバーな言い方になると思うのですが、新海監督の作品は限りなく実写に近いリアルさが特徴だと思います。『あ、わりぃ。俺バイト』という何気ないセリフも、本当に友だちに話しているような声と、自然な息づかいに注意して…。声のお仕事という意識を捨てたほどでした」。
さらにモノローグも「過去を振り返っているのか、今の心情を語っているのかで全然言い方が違うんです」と、使い分けについて分析。「新海監督の作品を研究し過ぎて、アフレコ時はもう自分の判断で演じていました(笑)」と、自身の“新海マニア”っぷりを明かした。
神木が見せるその器用さは、長年の俳優経験はもちろんだが、アニメーション作品へのただならぬ愛情も一役買っているのかもしれない。「(瀧の友人役の)島崎信長さん、石川界人さんは本当にイケメンボイスで感激でした!抜群の安定感で、ファンとしては近寄りがたかったのですが…。でも、好きなアニメの話をしたら色々お話できて本当に嬉しかったです」と、憧れの声優との共演を振り返る嬉々とした表情は、いちアニメファンそのものだった。【取材/イソガイマサト・文/トライワークス】