冨手麻妙、園子温作品での初ヌードは「まったく抵抗なかった」日本のAVに苦言も
園子温監督がロマンポルノ製作に挑んだ最新作『ANTIPORNO』の初日舞台挨拶が新宿武蔵野館で開催され、冨手麻妙、筒井真理子、園監督が登壇。単独初主演にして初ヌードにも挑戦した冨手が「女優としての目標は、園子温監督の映画で主演をやることだった。裸になることにまったく抵抗はなかった」と胸の内を明かした。
本作は、虚構と現実が入り乱れるなか、主人公・京子の過去の秘密を暴いていく衝撃作。京子役の冨手は、「園さんが思うこと以上のお芝居をしなければ、ここで何かが止まってしまうんじゃないかという緊張感があった」と憧れの園組への思いを告白。
撮影後には「また一緒にやろう。この作品は愛の結晶だ」と園監督からうれしい言葉をかけられたそう。冨手は「園さんからいただいている愛情を、全部爆発させることができた作品」と園監督への愛を溢れさせたが、「こういうことを言うと、ネットで“園子温の女”と書かれちゃう」と話して、会場も大爆笑。
「そういう次元の低いことではなく、もっと深い関係性があるんだということがこの作品ではぶつけられた」と胸を張り、「やっと女優人生のスタートラインに立てた。女性の裸が消費されている世の中で、私の裸が消費されないような作品を撮ってくださった。大きな女優になるために頑張りたい」と未来を見つめていた。
園監督は「久しぶりに自分を出し切れた映画だと思う」と自信をのぞかせ、劇中のセリフには、「当時の自分の苛立ちや時代に対する苛立ち、自分の現状に対する苛立ち」を込めたと話す。
またタイトルにかけて、「今、アンチしたいもの」を聞かれる一幕も。冨手は「男性向けだけのAV。アンチ日本のAV」と思いきった回答で会場を驚かせ、「海外のAVは男性も女性も同じ割合で映るらしい。日本のAVは女性の裸だけがメインで映るものが多い。日本も男性だけに特化しないものを作っていけたら、社会も変わるんじゃないかな」と持論を話した。
筒井は「アンチ、多様性を認めないこと」とコメント。「文化は多様性があって、いろいろなものを飲み込むもの。いろいろなものを浴びるように観てほしい」と訴えていた。【取材・文/成田おり枝】