『ドクター・ストレンジ』のマッツ・ミケルセンがカンバーバッチとの共演を語る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ドクター・ストレンジ』のマッツ・ミケルセンがカンバーバッチとの共演を語る

インタビュー

『ドクター・ストレンジ』のマッツ・ミケルセンがカンバーバッチとの共演を語る

“北欧の至宝”と言われている素敵なおじさま、俳優のマッツ・ミケルセンが、マーベルスタジオの最新作『ドクター・ストレンジ』(公開中)で来日。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(公開中)では主人公ジンの父親ゲイレン・アーソ役で静謐な演技を見せていたが、『ドクター・ストレンジ』では悪役に扮し、ダイナミックなアクションを披露した。マッツに単独インタビューし、ベネディクト・カンバーバッチとの共演について聞いた。

主演を務めたのは、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(14)のベネディクト・カンバーバッチ。彼が扮した天才外科医ドクター・ストレンジは、交通事故で神の手を失い、絶望の淵へ追いやられる。その後カマー・タージと呼ばれる聖域で過酷な修行を積み、人知を超えた力を手にしていく。マッツが演じたのはストレンジの宿敵となるカエシリウスだ。

マッツといえば『007 カジノ・ロワイヤル』(06)の悪役ル・シッフルやテレビシリーズ版「ハンニバル」でのハンニバル・レクターなどのイメージが強烈で、シックな装いの印象が強いが、普段はジャージなどのカジュアルなファッションを好むそうだ。この日もオレンジのジャンパーにジーパンがお似合いだった。

「90歳くらいになったらファッションも見直すだろうけど、いまのところはまだまだこんな感じでいけそうだ(笑)。僕はスーツも好きだけど、劇中のイメージとギャップがある方が面白いと思っている」。

魔術を扱う本作では、時間と空間の概念を超えたトリッキーな世界観に圧倒されそう。天と地がひっくり返ったり、高層ビル群が歪んだりと、未知の映像体験に心が躍る。もちろんマッツたちはグリーンバックでの撮影を余儀なくされた。

「ただ、グリーンバックはブルーよりも気持ちが上がって良かったよ。また、カエシリウスが戦う相手はクリーチャーではなく、生身の人間の場合が多かったので、そこまでの苦労はなかったかな。それに監督たちが『こういう映像になります』というアニメーションも用意してくれていたので助かったよ」。

本作では、相当激しい格闘シーンもこなしたマッツ。彼は元ダンサーということで、身体能力が高いことは映像を見ても一目瞭然だ。「ダンサーだったことはアクションをする上で役に立っていると思うけど、それよりも体操をやっていたことが大きかったと思う。スタントや空を飛ぶようなカンフーをやる時は特にそう感じたよ。18歳の時にブルース・リーの映画を観てから、よくカンフーを真似てやっていたしね」。

特に後半でストレンジと一戦を交えるシーンは本作のハイライトだ。「最後の息も詰まるような戦いのシーンは、お互いになかなかリハーサルを一緒にできなくて大変だった。実際に撮った時もすごく時間がかかったし、アザもいっぱいできたよ。でも、終わった後は2人とも少年のようにニコニコしていたんだ。子どもの頃にやりたかったような決闘を実際にできたわけだから」。

母国デンマークで “ナイト”の称号を与えられ、国を代表するビッグスターであるマッツだが、自身の立ち位置について全く気負いはないそうだ。「スポーツや芸術の世界においては、後輩たちに対する役割を意識したりすることが多いと思うけど、僕はそういうタイプではないし、指導者や助言者になりたいとも思っていない。もちろん若い人が僕に対して何かインスピレーションを感じてくれるのは嬉しいことだし、僕自身も先輩や同世代の役者や後輩からもそういったものを受けているし。でも、そのことについては考えすぎないようにしている。僕は自分ができることしかできないし、無理にする必要もないと思っている。それよりも、共演者たちの友人でありたいんだ。お互いに年齢関係なく助け合っていくべきだと思っているよ」。

肩肘張らないスマートさと謙虚さに惚れ惚れさせられたマッツ・ミケルセン。『ドクター・ストレンジ』ではまたファンの裾野を広げそうな予感がする。【取材・文/山崎伸子】

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